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コラム

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みちしるべ

2017-06-06
 先週、鳥取市が行った入札で落札決定後に積算ミスが見つかり落札を取り消す事態が発生した。その案件は、後日再入札する見通しだ▼今回のミスは些細なもので、修正しても予定価格は数万円しか変わらない。予定価格が事前公表されていた頃なら、誰も気づかずに通り過ぎていたことだろう▼それが発覚したのは、予定価格を事後公表にして積算の精度が受注に大きく影響を及ぼすようになったからだ。以前よりも積算にシビアになるのは、入札に参加する側として当然の対応だ▼数千万円の予定価格をピタリと当てる積算にどれほどの意味があるのか。各企業が技術力を伸ばしながら競い合っているとは言い難い面もある。入札制度に改善点はないものかとつくづく考えさせられる。

みちしるべ

2017-06-05
 梅雨入りが間近い。碁盤の目のように水のはられた田には緑の稲の苗が真っすぐ植えられ、それを見るだけでも清々しい▼ほ場整備が盛んに行われていたのは、30、40年前の頃だ。内容は区画整理、用排水施設、農道、客土、暗渠排水などを総合的に行う。生産性向上、省力化などを図り、農業の担い手を育成する。県内の平地、中山間部のほとんどで県営、団体営事業として、進められた▼近年では大区画ほ場として、さらに田を集約化して一区画が一ヘクタール(一町)のものにする事業も行われている。島根県安来市の能義平野でも行われている▼米子市内で久しぶりに、県営ほ場整備の計画があると聞いた。素朴な疑問として、ほ場整備をした経験のある技術者がいまいるのだろうか。そこも気になるところだ。

みちしるべ

2017-06-04
 第一歩は踏み出せているか―建設現場の生産性向上が叫ばれて久しい。働き方改革、担い手育成といった業界が直面する課題の解消に近づいているか。「横ばいでは、いずれ下がる。常に少しずつでも上昇していかないと」。ある県OBがつぶやいた▼そうこうしているうちに他産業との競争に打ち負けてしまう。週休2日工事には適正な工期、経費が確保できているか、積年の課題である工事書類の簡素化は進んでいるかなど、まずは足元を見直さないといけない▼給与の改善だってそう。発注者は社長に求めるだけではなく、どうしたら安定した経営ができるか業界と膝を交えてよく議論する必要があるだろう。じゃないと「働き方改革」―耳当たりの良いかけ声だけに終わってしまう

みちしるべ

2017-06-01
 先日の建設専門紙2紙に身につまされるコラムが載っていた。福島の紙面は「県内の29年度公共工事請負額が前年度比28%減少」▼岩手発行の紙面は「沿岸域では震災を教訓に、内陸や高台部で新たな道路の進められている」。2紙とも「3・11大震災」関連記事。福島の工事減少に対し岩手では「新設工事」が進んでいて好対照▼鳥取県内でも台風・豪雨・大雪・地震災害の復旧工事は後を絶たない。災復工事が一段落すれば、その後は公共工事が激減するのは各県に共通。前述の福島県も同様。災害に頼らない建設業が理想だが▼多くの重要法案があるのに国会を停滞させている野党は許せないと与党。その元凶が政府・総理ということを忘れてもらっては困る、が納税者の心。“政治災害”を一刻も早く除去すべし。

みちしるべ

2017-05-31
 先日、砂防学会の定時総会並びに研究発表会「鳥取大会」が米子市で開催され、全国から1千人を超す砂防の研究・技術者が集まった。総会で栗原淳一国土交通省砂防部長が今後の砂防界の課題に触れた▼大学で砂防関係の先生の数が非常に減少している現状がある。概ね農学関係で研究し、砂防学会で論文を発表して、官庁や民間の会社に学生を輩出する先生の数はこの20年間で25%ぐらい減少▼特に若い先生の減少が著しく、助教の先生は全国で10人を切るのではとも。大講座制の廃止、研究予算や組織定員数の減少、その一方で先生方の長時間にわたる激務が厳しさに拍車をかける▼建設業など多くの業界で人手不足が問題となっているが、砂防の学究分野も深刻だ。6月は「土砂災害防止月間」。

みちしるべ

2017-05-30
 県中部を流れる天神川を西側に渡ると、地形はなだらかになる。標高が高い地域でも、険しい山が少ないこともあって、多くの道路がどこかにつながる▼中部地区の担当になったばかりのころ、山間地での取材を終えて外に出ると真っ暗。初冬の山道で方向を見失ったが、それでも無事に帰ることができた。道路はたくさんあった方が良い▼逆に、天神川の東側は険しい山が連なる。八頭郡などの山間地域に入ると、行き止まりの県道がたくさんあり、土地に不慣れな人が入ると大変▼地図上では隣接する自治体でも、つなぐ道路がないため交流は少ない。道路の予算は維持や補修に重点が置かれる。維持の重要性は承知しているが、道路網が整っていない地域のことを忘れては困る。

みちしるべ

2017-05-29
 美保テクノスに「美保土建経営基本方針」という冊子がある。同社は1958年(昭和33年)に美保土木機械企業組合として産声を上げ、その設立発起人の一人だった仁宮次夫初代社長が76年(昭和51年)に亡くなる前3年ぐらいで社内報などに発表した寄稿を野津一成社長が常務時代に整理作成したと聞いた▼今でこそ県下建設業界のトップ企業だが、冊子の中にある3大目標は一つが地域第1の座の確保(成長性)、二つ目が納税1億円の達成(収益性)、そして三つ目が県内最高の給料の支払い(会社目的)。当時としては相当高い目標だった▼美保テクノスは7月30日で60周年を迎える。冊子の根底にある普遍的な指針から「さらに志高く」、コーポレートブランディングに取り組む。

みちしるべ

2017-05-28
 建設主要基幹資材の一つである生コン需要の大幅減への不安感が漂っている。特に、東部地区は鳥取西道路などの大型トンネル工事がほぼ終了することから「これから先の見通しがなく、心配」と、業界関係者は不安感を覗かせる▼県下生コン出荷総量は、ピーク時と比べ半減してはいるものの、2017年度は前年度比4・9%増の約47・5万立方㍍(本紙既報)と微増した。特に東部地区は前年度比15%増の約28万立方㍍の実績を有したが、大型工事の終了により「夏頃まではそこそこの数量で推移するだろうが、下半期以降が問題」。「想像を超えた事態も想定しなければ」とまで▼建築工事もRC造からS造への構造形式変化が進んでいる中、20万立方㍍を割り込むのでは、との予測もある。生コン需要が大きな曲がり角を迎えている。

みちしるべ

2017-05-25
 業界団体の総会など各種取材で耳にするのは、今やほとんど常套句となっている担い手の確保と育成の必要性。昨年、担い手三法の施行で公共工事の品質確保と担い手確保、育成のために企業が適正な利潤を確保することが認められた。さらには週休2日制の導入と、若者の入職や定着へ向けた下地は整ったような錯覚を起こしがちだ。しかし、現実はそんなに甘くはない▼一人の技術者の卵を雇用し、一人前に育てるまでに要する年数とその間の工事量確保はどうなるのか。聞けば10年はかかるという。それらを考えるとこの現状は経営者たちの頭を悩ませているだろう▼人を育てるには時間とお金がかかるのは当然のこと。地方の建設業界に至っては、結局は工事量の担保こそが肝要との結論になってしまう。

みちしるべ

2017-05-24
 先日取材した、県内建設会社の若手入職者を対象とした土木研修会に女性が数人参加していた。女性技術者を積極的に育てようとする企業の姿勢に、建設業の担い手不足を本気で打開しようとする気概を感じた▼労働人口が減少する中で、人手不足が叫ばれているのは、建設業だけではない。全国の企業が人材確保に躍起になっている。「建設業は男社会」と固執していては、今後の人材育成に大きな遅れをとる▼女性技術者を育てるメリットは多く、現場の雰囲気が明るくなる、顧客に安心感を与えるなどが挙げられる。しかし現場では、女性用のトイレや更衣室が無いなど、整備が不十分であるなどの現場も未だに多い。女性にとって働きやすい環境を整えることも、重要な働き方改革のひとつ。
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