コラム
みちしるべ
2023-08-15
先祖の霊を弔うお盆を迎えた。お盆の時期は全国的なものと思い込んでいたら、沖縄ではいまでも旧暦7月の一大行事だという▼盆休み期間のいま、県立博物館(鳥取市東町)ではノーベル賞受賞100年を記念して「アインシュタイン展」が開かれている。親日派だった人柄を知ることができるし、難解な相対性理論も体験型で学ぶことができる(今月27日まで)▼その県博で改修計画が動き始めた。50年以上が経過した建物の耐震化がメイン。鳥取城跡地の史跡内にあり、文化財保護法との絡みで厄介な仕事になりそう▼鳥取市の史跡整備基本計画には「当面、史跡整備との整合性を図りつつ併存する」とある。続けて将来的には移転も含めて検討が必要―。これから基本方針の策定まで、PFI検討を含め注目が集まりそうだ。(鷲)
みちしるべ
2023-08-14
台風6号が沖縄や九州で猛威を振るい、ついに台風の季節がやってきたと感じる▼テレビ報道で目にするが、台風にはそれぞれ名前がつけられている。6号は「カヌーン」と名付けられ、この名前は、2000年からアジア諸国を中心とした14カ国で組織する台風委員会が各国10個ずつの計140個の名前を順番に使っている。これまでに日本からは星座をテーマにした、「ヤマネコ」、「トカゲ」、「ウサギ」などを出している▼被害だけ目が行きがちな台風だが、各地に恵の雨をもたらす存在でもある。アジア地域全体で恩恵と被害に長年付き合ってきており、各国でその対策に苦慮している。外国人材の受け入れが本格化しているが、日本で土木技術を学んで自国に持ち帰るというサイクルがもっと発展して欲しい。(雛)
みちしるべ
2023-08-10
幼いころは多くのことに興味を持つ。ひとつのことに飽きたら、次を見つけるのも早い。夢は無限大に広がっていたに違いない▼時が過ぎて、高校生にもなると現実的な希望を持つようになるが、子供の時に見た景色や体験は、大人になってからふと思い出すこともある▼この夏、中国地質調査業協会が小学生らを対象にしたイベントを2回開いた。手作業で掘削するボーリングは子供たちに好評だし、25回目を迎えた「親と子の地学教室」は鉱山跡で鉱物の採取に目を輝かせた▼イベントのスタッフは地質調査の技術者。この中には子供の頃に抱いた自然科学への興味から今の仕事に就いた人もいる。子供たちがいつの日か「土の下を調べる仕事があることを思い出してくれるかな」と話す声が聞こえた。(鷺)
みちしるべ
2023-08-09
熱戦が繰り広げられている全国高校野球選手権にクーリングタイムが設けられた。球児の体を気遣う暑熱対策の一環で、5回終了後に10分間の休憩時間を初導入。水分補給などで体調を整える。心身ともに助かるといった反応がある一方、「気持ちが切れる」という声もあり、中盤に訪れる「10分間」の過ごし方が勝敗の分岐点になると指摘が上がる▼新ルールといえば、来春始まる建設業への時間外労働の上限規制。これを巡り、日本国際博覧会協会がパビリオン建設の遅れを受け、大阪・関西万博の工事従事者を除外するよう求め、波紋が広がっている。除外規定は災害対応時などで設けられているが、今回適当かが焦点▼ルールは誰を保護するためのものか、その上でどう対応、運用するかが本質論。おのずと答えは出るはずだ。(鴛)
みちしるべ
2023-08-08
インターネット黎明期に生を受けた世代からすると、爆発的に拡大を続けるデジタル空間は、未知への期待に溢れた宇宙のような場所だった。それゆえ「ネット好き」を公言する者も多いが、一回り下の世代からはピンとこないようだ▼「ハサミが好きでしょうがない、と言っているように聞こえる」とは言い得て妙。道具として当たり前に浸透しているものを、あえて好きだと主張する感覚は理解しがたいだろう▼「ルナテラス」のオープンから一月、月面探査車の初試験は方々で話題に。人々を惹きつけるのは、現実の宇宙で待つ巨大な未知への興味だ▼技術の一般化は、日常への埋没と言える。例えば隣の建設技術実証フィールドを小紙が取り上げなくなった頃、ICT建機もハサミのような存在になっているのだろう。(鵯)
みちしるべ
2023-08-07
今やスマートフォンでも聞くことができるラジオ。日本では今から1925年に放送開始となり、その30年後、55年には現在のソニーが国産のトランジスタラジオを発売した▼小欄は取材や営業に向かう車中で、FMラジオを聞いている。FM放送の特質上、建物内や街中では比較的鮮明に聞こえるが、山間部に行くとノイズが入ってくる。AM放送は現象が逆転する▼ただ、どちらの放送も途切れてしまうのがトンネルだ。長さや交通量などによって再放送設備を設けているところもあるが、県東部のトンネルは、聞けるところと聞けないところが肌感覚で半々といったところだろうか▼災害発生時に情報を得る手段としてラジオが再注目されている。災害が多発する世の中。どこでもラジオが聞けるよう整備が急がれる。(隼)
みちしるべ
2023-08-04
県内の学生は英語に苦手意識があるのか。中学3年生が実施した全国学力テストの結果が公表され、鳥取県は2回連続で英語の全国平均を大きく下回った。中央値を見ないとはっきりは言えないが、夏休み中の英語の勉強は高校受験の鍵になるだろう▼日本人には英語に苦手意識がある。日本語と比べると文の構成や、発音と綴りの違いなどと全く違う言葉を勉強している構成だからだ▼日本人が置かれた環境も低下の原因だが、少しは勉強していた方が良い。というのも、アジアでは殆どの国で独自の言語を持っているが第二言語は英語である。建設業の人手不足の解消として期待される外国人労働者。そのほとんどがアジア系である。英語で話せる技術者が1人でもいれば働きやすさは上がるだろう。(鴎)
みちしるべ
2023-08-03
〝熱っ〟風呂場の蛇口をひねるとお湯が出る。我が家が30年以上も前から使う太陽熱温水器。屋根に置いたパネルから温められた水が下りてくる単純な仕組み▼SDGs(持続可能な開発目標)や脱炭素など、最近これらのフレーズが商売の道具に使われているようで眉唾ものに見える。新しい取り組みのようで、実はそうでもない。要は節約社会か▼県は高校など公共施設の屋根を事業者に貸し出し、太陽光発電の普及を推し進める。担当者は「県施設全てをやってもわずかなシェア。民間にも屋根貸し手法を横展開したい」と意気込む▼だが、問い合わせは県外からが大半だという。設備の設置後、資金回収までに長期間かかることがネックか。県内企業も「眉唾もの」と敬遠していては、ビジネスチャンスを逃してしまう。(鷲)
みちしるべ
2023-08-02
閉鎖されてしまった工場や廃校になった学校を通りかかると、誰も立ち入らなくなったことで、草木が生い茂り、施設の窓が割れていることがある。こうした事例は、景観や防犯上の問題や建物の老朽化など、住環境への悪影響が懸念されている▼空き校舎の活用策は県内でも、八頭町の旧隼小学校を活用した、多様な働き方に合わせたワーキングスペースなどが入ったコミュニティ施設の「隼Lab.」などがある。地域のにぎわいにつながるような利活用策を講じるには、地域住民らの利用にとどまらず、足を運んでもらえるような施設にしていく必要がある▼また、産業用地として活用する動きも見られており、これが成功すれば新たな活用法として選択肢が広がる。是非とも実績に繋がってほしい。(雛)
みちしるべ
2023-08-01
子供たちは夏休み。ラジオ体操を続けていない地域も増えたが、小欄の地元では早朝から子供たちが広場に集まっている。この光景を見ると、小学生だった昔を少し思い出す▼昔とは違い、今の子供には夏休みの遊びにも制約がある。それでも、汗まみれで遊ぶ姿は今も昔も変わらない。周囲の大人は、危ない場面があると声をかける人もいる。あの子たちの安全を長く支えなければと思う▼先月の中旬、県内では梅雨明け前の豪雨で被害も発生。早朝から多くの地域で道路が冠水し、近くの生活道路も川のようだった。この中を多くの小学生が歩いて登校している姿を見て唖然とした▼過去の災害を振り返っても、極めて危険な行動だった。子供の安全を守る教育の現場があの状況に気づかなかったのか。(鷺)