コラム

2021年10月13日
スポーツ競技の審判とチームの監督は立場さえ大きく違うが、試合を進めていく上ではどちらも強い権限を持つ。時には、ゲームの流れが一気に変わることがあるから、的確な判断が強く求められる▼競技の世界では「審判を味方につける」という言葉を古くから聞く。不正ではなく、レベルが極めて高いチームや選手になると、早い段階でジャッジの癖を見極め始める▼現場をまかされる業界の技術者は苦労も多い。利益を出すことはもちろん、完成後に出てくる評定点が気になる。それでも最終的な目的は、発注者の監督員と良好なコミュニケーションを取りながら成果品を作り上げること▼工事や業務の開始から完了までの過程もスポーツの試合運びとどこか似ている。審判の癖は見極められるか。(鷺)
2021年10月12日
「学ぶ」の語源は「真似ぶ」と言われている。この説を否定する文献もあるが、ここでは語源説で話を進めていく▼物事を始めるとき、真似をして基本形を学ぶことが多いかと思う。小欄は幼少期から音楽を嗜んでおり、中学の吹奏楽部時代から続けているドラムはまさに、好きなドラマーの叩き方を真似し、先輩らからアドバイスをもらい、自分のものにしていった▼ある県の左官工事業者では、ベテランのモルタル塗りの動画を入社した若手社員に見せ、真似させて塗り方を学んでもらう研修をしていた。先輩からのフィードバックもある。こうした研修をやり始めてから、その会社の社員定着率は上がったという▼真似させること、フィードバックすること、この2点セットが業界の技術者不足を打開する鍵かもしれない。(隼)
2021年10月7日
新政権発足の慌しさも去らない中、真鍋淑郎氏の快挙がニュースをさらった。1960年代に地球規模の模擬モデルを開発するなど、温暖化予測のパイオニアだ▼これまでノーベル物理学賞の候補に挙がる研究は、宇宙・天文や原子・分子、素粒子が生む純粋な物理現象の観測が主だった。初となる気候変動分野の受賞は、国際的関心事としての大きな存在感を示している▼業界も無関心ではいられない。特に国内のCO2排出量中16%を占める住宅の省エネ化は、25年度からいよいよ新築全戸で義務化。重要な鍵になる木質化へ向け経産省も本腰を入れ、まさに明日10月8日は「木材利用促進の日」だ▼真鍋氏の研究は時を経て、我々の行動に変容を促すまでになった。時代を動かす偉大な功績だったと言える。(鵯)
2021年10月6日
世の中にピアノを弾ける人がこんなに多いとは。NHK番組の「街角ピアノ」は駅構内に置かれたピアノにたまたま通りかかった人が腰かけ、思い思い自由にメロディーを奏でる♪その人の背景とともに、じーんと心の奥に響くものがある▼全国で緊急事態宣言が解除された。「新しい生活様式」も定着し、テイクアウトするハンバーガーの売り上げが好調だという。酒類はどうか。外出自粛で家飲みするのが日常となり、飲酒代は大きく減った▼県東部の業界ではコロナ禍の下で手控えられていた民間建築の動向に期待する声が大きい。公共事業の上半期発注がパッとしなかった印象だけになおさらだ▼相次ぎ出店するドラッグストアだけでは寂しい。ポストコロナを見据えた出口戦略が、建築需要の鍵盤を鳴らす契機となれば。(鷲)
2021年10月5日
今月から緊急事態宣言が全国的に解除されたが、まだまだ気が抜けない日々が続く▼時短要請で飲食店は軒並み早い時間に閉店し「晩ご飯難民」が増えているという。ここで重宝されるのが宅配サービスで、県内でも宅配大手のウーバーイーツが鳥取市内で利用が開始された。今後エリア拡大も積極的に行われていくようだ▼飲食店の灯かりが早くに消える一方、それ以降も光を放っていたのが災害対応に追われた建設業者だ。長時間労働に頭を抱える建設業では、「時間外労働の上限規制」に関する改正労働基準法が、2024年4月からいよいよ適用される。規制を順守しない企業には懲役や罰金が科される内容だ。長時間労働削減へ、取り組むべき課題は企業によって異なるが、この日が建設業の大きな転換期となることは間違いない。(雛)
2021年10月4日
近年では自然災害の発生リスクと関連付けて意識される事が多いが、土地々々に与えられた名前にはそれぞれに意味があり、その地の歴史や伝説と深く結びついている▼伯耆町には小野地区と小町地区が隣接して在る。繋げれば判る通り、ここは三十六歌仙の一人、小野小町が晩年を過ごした地であるとされる。同様の伝説は各地に伝わってはいるが、もしかしたら―世界三大美人でもある彼女が、私達と同様に秀峰大山を仰ぎながら日々暮らしていたかもしれない―と考えると、趣深く感じる▼彼女の墓所が残る小町地区では、1日より残土処分場が開設。満杯となった暁には、災害発生時の仮設住宅建設用地などを備えた防災広場の整備が始まる。小町の名は、地域の人々の暮らしに不可欠な物と結びつき、今後も残り続けるだろう(梟)
2021年10月1日
普段は車での通勤。朝から長い距離を歩くことは少ない。だから、休日には健康のために歩いている人を多く見かける。だが、都会に暮らす人は、朝から速足で長い距離を歩く。真似ができない▼駅に行けばすぐに電車がやってくる都会とは違い、地方に暮らす人は、どこに行くのも車だ。自宅に3~4台の車があっても県内では珍しくはないし、ぜいたくだと感じることもない▼当然だが、ガソリンや税金といった維持費の負担は都会に暮らす人よりも多かろう。県内に不必要な道路などない。その道の先には人が住む集落だってあるし、買い物や病院にも行かなければならない▼国は、地方の納税者が納得できるインフラの整備を実現すべき。もうすぐ衆議院選挙。立候補者からこうした声を聞きたい。(鷺)
2021年9月30日
ロボティクス業界の躍進が目覚ましい。高齢者の見守りから愛玩用まで一般家庭への普及も進み、28日にはついにアマゾンが参入を発表した▼国内企業ではソフトバンクグループの注力ぶりが目立つ。AI関連300社超への投資額は全世界の1割を占め、18社ものロボット企業群と提携する陣容は異例。配膳、清掃、物流分野では国内展開も間近だとか▼重要な機能は、従来のような特定動作の反復ではなく、AIで学習・成長し広い需要に応えること―孫代表はそうした「スマートロボット=スマボ」が日本復活の鍵になると力説している▼大手ゼネコン16社が施工ロボットの共同研究に乗り出した。人材確保に悩む業界には朗報だが、地方まで行き渡るのか。産業全体の底上げに汎用性の議論は欠かせない。(鵯)
2021年9月29日
秋の気配。稲刈りを終えた田んぼの畔をコスモスの花が濃い紫や淡いピンク色に染めている。日は短くなり朝夕、めっきり涼しくなった▼約2200年前にタイムスリップ。山陰道・青谷IC西側のエリアに青谷上寺地遺跡公園の整備が進められている。当時、広がっていた低湿地帯をビオトープとして再生するほか、高床倉庫などを配置して弥生時代の景観を蘇らせる▼公園西側のエントランス部に建設する展示ガイダンス施設が、きのう発注された。発掘された数々の木製品など重要文化財をはじめ、人骨の復顔模型を展示。体験学習室も備え、2023年秋のプレオープンを目指す▼史跡近くに植えられているコスモスも花開いていた。花言葉は「調和」。悠久の時と遺跡公園が上手く調和しますように。秋の夜長に思いをはせたい。(鷲)
2021年9月28日
「先ず隗(かい)より始めよ」。言い出したものがまずは物事に着手せよという意味▼中国の戦国時代、燕という国の王が人材不足を嘆き、賢者を招くためにはどうすればよいかを郭隗(かくかい)という賢者に尋ねたところ、優れた賢者を招きたいならまずは自分を優遇するよう言った。その意図は郭隗を優遇することでそれより優れていると思う者が集まってくるはずという話だ▼人材不足に悩んでいるのは現在の建設業も同じ。しかも、多くの職業から建設業が選ばれるようにしなければならないという点では、中国の戦国時代にも勝るとも劣らない厳しい時代。週休2日制や建設キャリアアップシステムなどの積極的な運用はまさしく「隗より始めよ」。多くの賢者が建設産業に集まり、発展していくためにも改善の歩みを止めてはならない。
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