コラム

2025年7月22日
 芥川賞・直木賞の該当作が今回なかったという▼日本を代表する文学賞としては異例の展開で、1997年度下半期以来、27年半ぶり。史上6度目となった。現代人の活字、書籍離れが課題となる中、賞が本を売るための話題作りとなっている点は否めない。候補が水準に達していないのであれば、権威の保持に向け「該当なし」の判断は妥当と言えそう。高い選考基準を持って評価されている、と賛同の声が寄せられている一方、書店関係者は落胆していることだろう▼受賞といえば、県が優良業務表彰の選定方法を、難易度など中身を考慮する仕組みに見直した。成績点だけではない、総合的な判定に近づき、選外となってきた技術者が対象となるなど、構図がやや変わる可能性も。こちらは、新方法でどんな該当者が出るのか、楽しみだ。(鴛)
2025年7月18日
 どう置いても自律的に向きを変え、必ず特定の面が底に来る「単安定四面体」。1960年代から仮説としてあった概念上の存在が、先日ついに実体を伴って世に出たそうだ▼あまりピンとこないが、数学・工学的には奇跡の産物だという。例えば宇宙船の着陸時など、様々な分野で応用が期待されている▼三角が生み出す幾何学的な構造美や天文との連動は、どこかピラミッドを想起させる。人は古来、単純な形の中に秩序や力を見出してきた。重力に抗い、なお安定し続ける構造は時に信仰の対象になり、永遠の象徴とさえ捉えられる▼そんな「形に託された祈り」が、今日に至るまで連綿と続いてきた。積み上げ、支え、崩れぬものをつくる―建設の現場に息づく営みもまた、人の祈りのかたちの一つだ。(鵯)
2025年7月17日
 日本人を語る上でよく取り上げられるのが謙遜の文化だ。日本社会では集団の一員として調和を保つことが重視されるため、自己主張を控えて謙遜し、協調性をアピールすることがよくある▼知人と会った際、あいさつ代わりに「最近どう?」「ぼちぼちだな」と話すのも一種の謙遜文化と言える。筆者も割と使う頻度が多い。どうやらこの言い回しは商都・大阪で広まった使い方のようだ▼ぼちぼちでは困るのが公共事業。年度当初から6月くらいまでで発注者からよく聞くのが「前年度並みの事業費をつけました」という台詞だ。物価高騰のなかで前年度並みということは、実質の発注量は減るわけで、それでは業者もやっていけない▼来年度の予算要求がそろそろ始まる。「ようけありまっせ」となるかは行政の腕の見せ所だ。(隼)
2025年7月16日
 日頃からよく使っている漢字は約3300年前、亀の甲羅や動物の骨などに刻まれた甲骨文字が起源とされる。その後、時代とともに形が変化し様々な書体が生まれてきた▼漢字には中国から伝わったもののほか、「国字」と呼ばれる日本特有の文字がある。国字は日本独自の文化や概念を表現するため作られた字が多く、1500文字ほど。漢字数の割合で見るとごく一部だという▼「枠」も国字の一つである。糸巻きの四角い道具を「わく」と呼んだことで木へんが使われ、卆は卒の略字。卒は「おわる」という意味だが、終了の終とは違い、「締めくくって一つにまとめる」という意味▼一般管理費や資材が上昇する中、建設業の予算枠はほぼ横ばいが続く。このままでいくと業界は死活問題。思い切った予算の確保が必要となる。(鴎)
2025年7月14日
 人手不足を背景に、企業で働く人材の高齢化が進んでいる。45歳以上の従業員が半数以上を占める企業の割合は6割超(64・2%)に上る。民間調査会社・東京商工リサーチの調べで分かった▼業種別でも建設業は70・4%と高い。若い人が入社するか、育つまでの間は、45歳以上の従業員をいかに重用するかが企業経営のポイントになりそうだ。上限を設けない雇用延長と、退職前の賃金を据え置くことも選択肢の一つ▼今の60歳前後から45歳までといえば、ちょうどバブル全盛期から就職氷河期の世代が混在する中高年の人たち。そろそろ、ずっと働き続けられる環境を求める時期に差し掛かる▼県内の業界でも「どこか建築ができる人はいないか」と、即戦力の人材を求める声がよく聞かれる。にわかに中高年の転職市場がわいている。(鷲)
2025年7月11日
 建設現場に設置される仮囲いは、安全確保、周辺環境の保護などの役割がある。しかし、近年では新たな価値を持たせようとする動きが広がっている▼今年3月、出版社の秋田書店本社の解体工事現場の仮囲いに掲げられたのは、「史上最強の親子げんかにより本社屋は倒壊いたしました」というインパクトある看板。同社の人気格闘漫画『刃牙(ばき)』シリーズの名場面を引用したもので、作者の板垣恵介氏は「ビル1棟で済んだのは幸運」と遊び心を添える▼人気コンテンツとの連携はハードルが高いが、このほかにも、仮囲いをキャンパスにして、アーティストや学生がアート作品を作るなど、まちづくりにもなっている▼囲いひとつでも企業や職種の魅力を伝える媒体にもなり得る。現場を隠すための囲いがカッコイイ建設業を伝える有効な手段なのかもしれない。(雛)
2025年7月10日
 気象用語に使われる「真夏日」は今の時代だと涼しく思うが、「猛暑日」という言葉は本当に辛い。加えて「熱帯夜」も続き、体調を崩した人も身近にいる。「にわか雨」が待ち遠しい▼そのうち、熱帯地帯のように突風と強い雨を伴うスコールが当たり前になるのか。これからの季節は、極端に大きな被害を発生させる豪雨災害に注意しなければ▼にわか雨という言葉は、どこか風情を感じるが「ゲリラ豪雨」は意味合いが大きく違う。予測は難しいし、大災害につながる。どこに暮らしていても安心は出来ない、という思いを共有すべきだ▼この暑さを「酷暑」と表す人も多いが、気象用語ではない。この言葉を聞いたのは、ずっと前のこと。メディアで最初に使った人は、今の気候を予測していたのか。言葉は一般の人達に広く定着している。(鷺)
2025年7月9日
 参院選の投開票が、史上初めて3連休の中日になったことが、ネット上などで話題となっている。投票率が下がり、組織票を持つ与党に有利に働くとの見方が大勢▼ネットを使った電子投票が解禁されれば、状況は異なるだろうが、日本では、本人確認の方法などで課題があるとして、導入されていない。海外では各国で採り入れられ、投票率が飛躍的に伸びたケースも。選挙の景色は大きく変わる▼電子といえば、業界では電子入札の動きが進む。来月からは米子市でも、一部工事を対象に運用が始まる。開札時の業者の立ち会いがなくなり、役所で顔を合わせる機会が減りそう。こちらも様相が変わる。事務手続きの効率化などの観点から、電子化の流れは当然と言えるが、大型案件の抽落時の喜びなどが見られなくなるのは、何やら寂しい。(鴛)
2025年7月7日
 苛烈な陽射しに夏の商戦も本格化。季節商品が攻勢を強める中、大手ECは大型セールを始め、物流の耐力も懸念される▼戦略、戦術、戦力―市場競争を軍事に見立て始めたのは戦時下のこと。効率的な兵士の育成手法がそのまま部下の教育に転用され、今もって踏襲されている。「ロジスティクス(物流)」も由来は「兵站」だ▼ゆえに、1980年代の組織変革論の教科書には共通して「危機感を煽れ」とある。戦地へ追い立てるには、焦燥や恐怖が近道。しかし現代では、大量離職の呼び水になるだけだろう▼何も往時の有り様を否定するわけではなく、戦後80年、時を経て変わった価値観の軸を建て直す必要があるだけだ。さながら戦後復興の第一線を担ったように、建設業界にはその旗頭を務めてほしい。(鵯)
2025年7月4日
 最近は鳥取でも外国人の姿を多く見かけるようになった。昨年時点の県内で暮らす外国人は、2014年当時と比較して約1・5倍、外国人観光客もかなりの伸び率となっている▼インバウンド需要は著しいもので、少し前の言葉を借りれば、中国人を中心に「爆買い」が行われる。そうなれば当然、日本に莫大なお金が落とされる▼インバウンドは、ホテル価格の高騰といった影響も及ぼしている。もちろん、インバウンドだけでなくホテル業界の人手不足なども相まってのものではあるが▼ホテルといえば、鳥取市内ではビジネスホテルを中心に複数、建築計画があがっている。砂丘の高級ホテル・マリオットも施工業者は決まったようだ。それぞれのホテル建設は赤字工事とも聞く。建設費はせめて適正価格にならないものか。(隼)
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