コラム

2022年9月8日
「インフレ手当」の導入を発表する企業が増えだした。食料品や電気代、ガソリン代など歯止めがかからない物価上昇を背景に、従業員が抱える生活不安を軽減する目的。月給に上乗せする形や、特別一時金として支給する▼賃金の伸びを物価高が上回れば、実質的な所得が目減りし、国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費に影響。結果的に、国内景気の回復が遅れるとの経営判断もあるということで、製造業、小売業、ソフトウエア開発などで相次ぐ▼一方、建設業で聞かれないのが気がかりだ。資材価格高騰によるコスト増が経営を直撃し、取り巻く環境が厳しいことを物語る。公共、民間の発注者が、適正な請負代金の設定や工期の確保に一層目を配れば、状況の改善に結び付くに違いない。(鴛)
2022年9月7日
月初めに沖合底引き網漁が解禁され、本格稼働を始めた境漁港2号上屋での初競りは大いに賑わった▼「和食」のユネスコ無形文化遺産登録から来年で10周年。水産物を含む日本の食材の輸出総額は倍以上に膨れ、1兆円を超えた。ただグローバルの市場規模自体が倍増ペースで伸びており、高い注目度を活かしきれているかは疑問▼課題は販売戦略。健康や安全性に対するメリットを強調しようにも、科学的なエビデンスがない。必要な量だけを獲り食材を余さず使う姿勢はSDGsを地で行くが、当たり前として続いてきた伝統を発信する術が磨かれていない▼高度な衛生管理体制は客観的な指標になり得る。加えて漁から流通に至るストーリーを間近に体感できる境漁港は、食文化の未来にも大いに貢献してくれるはずだ。(鵯)
2022年9月6日
8月31日、72年にわたる屋号での営業を終えた鳥取大丸。3日からは創業時の屋号にちなんだ丸由(まるゆう)百貨店として営業開始した。新しい屋号もそのうち馴染むだろうが、「鳥取大丸」の屋号を目にすることがなくなるのは少々寂しい▼丸由百貨店は創業から数えて85年もの間に、戦時中の鳥取地震や戦後復興期の鳥取大火、1970年代の鳥取駅高架化による駅前再開発なども経験している。まさにこの地に歴史ありだ▼鳥取駅前周辺は車こそ結構走っているが、人通りは正直まばらだ。土日の昼間でも人がほとんど歩いていないことも。市の中心部でこのような状況は寂しい限りだ▼鳥取市は駅周辺再生基本構想を策定している。再出発した丸由百貨店やその周辺を含め、魅力あるまちづくりとなることを願う。(隼)
2022年9月5日
607年に建立した世界最古の木造建築である法隆寺。仏教伝来とともに日本に渡ってきた工法により1000年以上もその姿を保っている。当時の技術者の匠の技が見える▼建設業は最古の伝統産業と言っても過言ではない。人が木や石で家を作ったときから建設の歴史は始まり、今もなお文明ともに進化し続けている▼世界の建設市場を見てみると、トップ3に中国が並ぶ。経済成長により伸び盛りとも言われるが、日本の卓越した技術は決して世界に負けていない▼大林組がシドニーで受注したビルは7階以上に鉄骨と直行集成板(CLT)を採用した木造ハイブリッド構造。この構造でのビル建設(地上39階、高さ182㍍)は世界最高層を誇り、まさに今日まで受け継がれた匠の技が生きている。(鴎)
2022年9月2日
夏野菜に事欠かない。キュウリ、トマト、ナスにカボチャ…全部、いただきもの。夏のあいだの食卓には毎晩、同じようなメニューが並ぶ。さて、大量のナスと大きなカボチャをどうやっつけてしまおうか▼9月に入った。事務所にバラツキがあるものの、各発注機関から上半期末に向けた執行が続いている。以前の業界だったら、「仕事量が少ない」と発注者に苦言を呈していたものだが、いまは「ない袖は振れぬ」と、発注者側の意を汲む物分かりの良い業界になったような気がする▼ただ、現場にまつわる話題ともなれば熱が入る。「設計と現場が合っていない」「検査がおかしい」…昔からある話だが、最後はおカネに跳ね返ってくることだから当然、頷ける▼大人しくなった業界は寂しい。発注者に対しては、もっと声高に改善を叫んでよい。(鷲)
2022年9月1日
労働基準法の改正で、建設業では2024年4月1日から罰則付きの時間外労働の上限規制が適用される。一般業種の中小企業では20年4月から既に適用されているが、人手不足の課題が深刻な建設業には5年の猶予期間が設けられた▼働き方改革の一環として、週休二日制の導入や施工時期の平準化が進められているが、自然を相手にし、天候の影響を受ける建設業で、完全週休二日制は実現できるのか。現行の制度では、工法変更や工事の追加、減少の変更は可能だが、基本的に工期を延長することは難しい▼工期に間に合わせるために、休日出勤や残業が常態化するなど負担がかかっているのも事実で、工期のひっ迫が招く労災事故の危険性も高まる。工期延長の柔軟な対応が求められている。(雛)
2022年8月31日
残暑はまだ続くが、日暮れの時間が早くなると冬が近づいてくるような気になる。近ごろは、春と秋の季節が短くなったのではと話す人も多くいる。気が早いが、今冬の雪はどれぐらい降るのか▼この地に暮らす限り、雪は常に覚悟しておかなければいけない。取材先の事務所は、この冬の除雪準備をすでに開始している。雪の季節が終わった4月から前年の状況を踏まえ、次のシーズンに向けた対策に取り組む。準備に余念がない▼都会と違い、県民の多くは車で移動。朝になれば、家族がそれぞれの職場に向けて車に乗り込む。道路は毎日の生活に大きく影響する▼県内に無駄な道路などないはずだ。人口が少ない地域だからと言って、整備がおろそかになってはいけない。道路の充実を多くの人が望む。(鷺)
2022年8月29日
商品の値上げが続く中、消費者物価地域差指数という興味深いデータが目に付いた。都道府県別の物価差を示す総務省資料で、全国平均100に対し高低が判別できる。食料の項目を見ると、自給率が低い地域は調達コストがかかるため高くなるほか、小売店の競争が激しいほど低くなる傾向がある▼2021年調査で最高は、福井の103・9。大手スーパーの出店が少ないためだとか。鳥取は101・5の11位で、比較的高位となった。地元を見渡せば、県外資本のディスカウントスーパーが増えた。今後も計画が相次ぐため、指数は下がりそうで、消費者としては歓迎と言える▼ただ、地域の資金が県外流出するのには複雑な気分。せめて、施工に地元業者が多く携わり、工事の「県内自給率」は高くあってほしい(鴛)
2022年8月26日
球児達の夏が去る―今年も数々のドラマに彩られた甲子園は「白河の関越え」で幕を閉じた。熱戦に拍手を送りたい▼甲子園を目指す野球部を舞台に、ピーター・ドラッカーのマネジメント論を説いたベストセラーから13年。当時すでに古典の域にあった「経営の神様」の来日は、さらに40年余を遡る▼キリンビールの社員が著書『現代の経営』(1954年)を留学先から持ち帰り、上司の指示で翻訳、出版に至った。しかし実際に自社で活用したのは30年後。代わって組織変革の一助としたのは、三千人のリストラを断行した住友金属鉱山だった▼企業は業績悪化なくして経営にメスを入れられないことを示す例だ。迫る9回裏ビハインドの局面を打開できるかは、やはり指揮官の采配とチーム力に掛かっている。(鵯)
2022年8月25日
まちなかを散歩していると電線共同溝による無電柱化区間があちこちで見受けられる。正直、最近まで電線共同溝の地上機器がスピーカーに見え、音楽が流れてきそうだなどと思ったことも恥ずかしながらある▼無電柱化は、災害時の電柱倒壊で電力、通信の供給が途絶えるなどの被害を防止するために推進され、県内でも各地で整備が進められている▼鳥取市の中心部では鳥取駅前の本通り、若桜街道などで無電柱化が完了している。本通りと交差する末広通りでの事業化検討業務は飲食店の立ち並ぶ地域のため、業務の難易度が高い。鳥取県土が発注したが、入札自体は応札者がなく中止になった。方向性を見直すようだ▼まちづくりを兼ねて整備されることもある電線共同溝。今後の県内での動きにも注目だ。(隼)
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