コラム

2026年3月13日
 3月は自治体議会の取材が慌ただしい時期だ。県議会はインターネット中継でも視聴できるため、原稿を書きながら画面をのぞく。休憩時になると県歌が流れる。「大山はさやかに…」と始まるあの旋律だ▼県歌や社歌はなぜ存在するのか。多くは地域や組織の歴史や理想を歌詞に込め、共有することで一体感や誇りを育てる役割を持つと言う▼県歌の歌詞中に「建設の若きうたごえ、わきあがる力にみちて」という一節がある。成長期の時代背景を感じさせる表現だが、地域を築き上げる力としての建設の姿が重ねられる▼県歌の一節にある「わきあがる力」は、時代が変わっても地域づくりの根底にあるものだろう。地域を守り、未来を築くためにも、公共事業の安定的な予算確保は欠かせない。そんなことを、議会中継の合間に流れる旋律を聞きながら思った(鴎)
2026年3月12日
 先日は雪が降るし、冬から春へと季節の変わり目は体調を崩しやすい。ヒノキ花粉の飛散はこれからが本番と言われ、早くも近くには症状に悩まされる人も▼それにしても、このたびの年度末入札は寂しい限り。東部では繰り越し工事や業務にありつけない業者が多く出た。年度が替われば状況に変化があるかどうか▼やはり、柱になる事業が欠かせない。ようやく山陰近畿自動車道・南北線は、都市計画手続きの完了が見えてきた。足掛け6年が経っている。うち5年間は手続きが中断した期間。この間、丁寧な地元説明がなされてきたとされるが、長すぎた▼最短で2027年度に事業化されても、設計、用地買収があり、着工までの道のりはほど遠い。関連事業も含めれば大プロジェクトになるが、それまで食いつなぐ何か手立てが欲しい。(鷲)
2026年3月11日
 ファミリーマートが一部店舗で導入をしているクレーンゲームなどの設置店舗を現在の約3倍となる5000店舗に拡大する▼本業とは直接関係のない要素であっても、来店するきっかけを作り、最終的に売り上げにつなげる仕組みを構築している点は興味深い。食品や日用品を売るという従来の枠にとらわれず、人を呼び込む装置として店舗を捉え直している点に、発想の強さがある▼建設業もまた、直接、収益につながらないことでも取り組む意義がある。子ども向けの現場見学会、完成予想図の分かりやすい表示など、即利益にはならないが、その評判が次の仕事や将来の担い手確保につながる▼ファミリーマートもあくまでゲーム機単体でもうけようとしているわけではない。本業を守りつつ、本業の周辺にある種、無視してきた部分を価値に変えられるかどうかが大事だ。(雛)
2026年3月9日
 東日本大震災から15年になる。あの日は鳥取県内も寒い金曜日で、車のラジオから流れる避難を呼びかける声に驚くばかりだった。宮城県に住む知人に電話をするが、声を聞けたのは1週間を過ぎていたことを思い出す▼報道で見る復興は進んだように見えるが、多くの人が住み慣れた地元を離れて、生活環境の整った都市部周辺に移るのも仕方がないが、被害の大きかった地域の人口は大きく減った▼その後も全国各地で地震や水害で大きな被害が相次いで発生している。そして、人口の少ない町や村から同じように人が離れてしまう状況が見られるのは寂しい限りだ▼被災した地域を今以上に疲弊させないためにも、事前に不安を取り除く公共事業の役割が必要。人が少ない場所だからと言ってインフラの整備を見放されては、たまったものではない。(鷺)
2026年3月6日
 何を投げ込んでも音のしない穴が見つかる。人々は石を落とし、ごみを捨て、やがて都合の悪いものまで放り込む。底はないと信じ、見えない場所に安心する。星新一の短編『おーい でてこーい』は、沈黙する穴が最後に何を語るのかを不気味に描いた寓話だった▼近ごろ道路陥没の報道が続く。地下の管路損傷や空洞化など背景はさまざまだが、地面の下で起きている変化は普段、私たちの視界に入らない。米子市でも市街地の歩道が陥没する事故があり、詳しい原因は調査中という▼穴は突然あく。だが突然に見えるだけだ。その下で積み重なった時間とひずみが、ある日、表に出てくる。地中の沈黙は無言ではない。「おーい でてこーい」という声が、足元から聞こえぬとは言い切れない。(鸛)
2026年3月5日
 野球の国・地域別対抗戦ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)がきょう5日、開幕する。日本代表「侍ジャパン」は、2023年の第5回大会に続く2大会連続4度目の王座獲得を目指す▼代表の躍進ぶりに加え、注目はチームを鼓舞する新パフォーマンス。前大会はペッパーミルポーズが大流行。ヒットなどを打った選手と、活躍に応えるベンチの選手が、胡椒挽きを両手で絞るような同じポーズで盛り上がりを見せた。今大会は「お茶ポーズ」が考案されたが、一体感はどうだろう▼春になり、新入社員を迎える企業が少なくない。企業の発展に欠かせない存在で、指導、激励など、迎え入れる側の対応が重要だ。長い目で見て育て、一体感の醸成につなげてほしい。もちろん、無茶ぶりにはご用心。(鴛)
2026年3月4日
 名古屋発祥の「ヴィレッジヴァンガード」1号店が、建物と設備の老朽化を理由に閉店する。迷路のような売り場に、手書きPOP、書籍と雑貨が混在する独特の空間。価値観や遊び心を提案する文化の発信地として、多くの若者の記憶に残る店だった▼「サブカル神話の終わり」と惜しむ声も多い。確かに文化は人が作るが、その体験は場所と不可分。時間や空気が刻み込まれた建物は、時代を映し出す鏡の役割を果たす▼とはいえ、かつてのサブカルチャーは今やメインストリームと呼んでいいだろう。日々新たなコンテンツが生まれ、消費者の裾野も遥かに広がった▼場が生まれ続ける限り文化は拡張を続ける。建築物の更新は次の1ページをめくる行為であり、そこには建設人材の手が必要だ。(鵯)
2026年3月2日
 3月に入り新年度も目前だ。県立高校の多くはきょう2日に卒業式が行われている。卒業見込みの生徒数は約4300人。学友との別れに寂しさを募らせ、4月からの新しい出会いに期待を膨らませていることだろう▼さて、昨年の出生数が先日発表された。約70万人で過去最小。県内は3095人とのことで単純に比較はできないが、約20年で生まれてくる赤ちゃんが1000人以上減ったこととなる。県立高校の入学志願者数も実業高校、特に工業系で定員割れが顕著だ。このままいけば高校統合の可能性もあり得るかもしれない▼業界も人材確保に苦慮する。実業高校は母数が少ないため、普通科からも受け入れる企業が増えてきている。柔軟に対応すること、学生へ魅力を伝え続けることの両面が必要な時代となっている。(隼)
2026年2月28日
 1862年の今日、京都で壬生浪士組が結成された。これが後に新選組と称される組織の出発点である。今ではドラマやゲーム、漫画などで登場し、親しみやすいものであろう▼幕末の動乱期、尊王攘夷運動が各地で広がり、都の情勢も不安定さを増していた。治安維持を担うために集められたのが彼らであり、近藤勇、土方歳三、沖田総司らの名は広く知られている。厳格な局中法度を定め、規律と統率を重んじた組織運営は、激動の時代を象徴する存在として語り継がれる▼明確な規範を掲げ、それぞれが自らの役割を自覚しながら行動する姿勢は、時代を超えて示唆を与える。現代の建設現場においても、指揮命令系統の徹底や基本動作の確認連携が安全と品質を支える基盤となるだろう(鴎)
2026年2月26日
 つい先日の大雪が嘘のよう。日中は気温が上がり、外で過ごしやすい陽気になった。近くの公園では親子連れがボール遊びに戯れる風景も▼新年度の県内労務単価が発表された。気温の上昇と同じように、晴れやかとはいかない。全体では伸びてはいるものの、比較的労働者が多い普通作業員は1万8200円と、わずかに1・7%(300円)アップ。全国平均3・0%増と比べ格差は広がっている▼県建設業協会が賃上げを呼び掛けるチラシを作成し、年明けから会員に配布している。「労務単価上昇の恩恵を、がんばる人に行き渡らせることが必要」とある▼なかなか賃上げできない原因はどこにあるのか。調査基準ギリギリの応札が労務費を圧迫していないか。来年の単価改定に向けて、発注者側も入札制度で協力すべき点はあるだろう。(鷲)
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