コラム

2026年6月16日
 先日、「ホワイトハラスメント」という言葉を目にした。これは、容易な仕事に限定するなど、過剰な配慮によって部下の成長機会を奪う行為を指す▼昨今、「パワハラ」などを恐れて厳しさを避ける指導が広がる中、適切な指導の在り方が求められている。重要なのは、厳しさの有無ではなく、その質ではないか▼建設業ではかつて、「見て盗め」という場面も多く、これを厳しいと感じて離職につながるケースも。そんな状況を変えるため、働き方や指導方法の見直しが進められてきたが、配慮するあまり、必要な注意や指導まで控えてしまう状況が生まれ、新たなホワハラという言葉が聞かれるようになったのだろう▼厳しいか、優しいか、それは一辺倒ではダメなのだろう。結局はどんな場面でも「過ぎない」ことが、改めて大切だと感じた。(雛)
2026年6月15日
 この時期らしい天候だ。蒸し暑い日は多いが、雨が続けば肌寒い時間帯も増える。梅雨の時期はいつもこんなものだ。台風も上陸して太平洋側は被害も発生。県内は比較的おだやかな毎日が続くが、油断はできない▼この季節になると防災に携わる多くの専門家が過去の大災害を検証する。一部地域に集中した想定外のゲリラ豪雨などの要因を語るが、何よりも豪雨の中、暗闇の道を避難することが「どれほど危険なことなのかを思い知る」と▼初動段階でどれだけ的確な指示を出せるのか。瞬時に決めなければいけないことは多い。限られた人数で対応する小規模な自治体にとっては難しい問題だろう▼土木に携わる民間の技術者も不測の事態には対策を総合的に判断して実行する技術力が求められる。瞬時の判断は現場での豊富な経験がなければ出せない。(鷺)
2026年6月11日
 ノーベル平和賞受賞者のワンガリ・マータイさんが「MOTTAINAI」を世界に紹介してから20年余り。使えるものは繕い、受け継ぎ、最後まで生かそうとする日本人の美意識として注目を集めた▼だが、こと家に関しては少し違う景色が広がる。空き家が増え続け、2043年には住宅の4戸に1戸に達するとの試算もある。戦後、「いつかはマイホーム」は多くの家族の夢をかなえてきたが、子が親と同じ土地で暮らし、家を受け継ぐことが当たり前ではなくなった▼「勿体」とは、本来あるべき姿や備わった価値を指す言葉だという。その価値を生かし切れない惜しさが「もったいない」なら、住み継ぐ、使い直す、別の価値を見いだす営みにも目を向けたい。「もったいない」の国で、家の価値を見つめ直し、次へ手渡す知恵も問われている。(鸛)
2026年6月10日
 きょうは「歩行者天国の日」。1973年の同日、銀座から上野まで、車の通行を禁じ、歩行者に道路を開放する企画が実施されたのが起源。車の急増に伴う事故増加や環境問題への配慮から、歩行者優先の交通への転換が求められたとか。各地に広がり、沿線の出店、賑わい創出事業の開催など活性化策として採り入れられる▼米子駅前通りの一部で、車道4車線を1車線減らし、歩行空間を広げる実験が続けられた。市は恒常的な空間拡大を目指すが、効果を巡る否定的な意見も。「渋滞の懸念などデメリットも想定されるが、歩く人が増えることで生まれる賑わいや健康増進、公共交通の維持といったメリットを追求したい」と市長▼21日投開票の市議選の立候補予定者の間でも賛否が割れており、主張が気になる。(鴛)
2026年6月9日
 五月の終わり、稲の移植を終えた田のほとりで蛍を見た。淡い光が梅雨入り前の夜気に漂い、しばし足を止めて眺めた▼明けて六月の異名は水無月。「水が無い月」と書くが、「無」は古語で助詞の「の」に当たり、本来は「水の月」なのだとする説がある。一方で旧暦六月は現在の七月頃のため、梅雨明け後の本格的な暑さに文字通り水が枯れ尽きる様を表しているとも▼豊かさと乏しさが同居した字面は、水の持つ二面性にも通じる。田を潤し、稲を育てる水。しかし度を越せば線状降水帯、内水氾濫といった脅威に変わる。その境目に建つのが河川・砂防施設などの社会基盤だろう▼人知れず整備された排水路のほとりで、今夜も蛍が光る。淡い明滅は、水と人が紡いだ一時の静けさに揺れている。(鵯)
2026年6月8日
 近年の夏は「これまで通り」が通用しなくなる。気象庁によると猛暑日の増加傾向が続き、今年も早い時期から厳しい暑さが予想。熱中症は屋外だけでなく室内でも発生し、十分な睡眠や朝食、水分・塩分補給など日頃の体調管理が予防の基本となる▼こうした中、屋外作業が中心の建設業界では熱中症対策の強化が急務だ。空調服やミストファンの導入、休憩時間の確保に加え、作業時間を見直す動きも広がる。大手ゼネコンでは猛暑期に始業時間を早める「サマータイム」を導入し、気温の高い時間帯の作業を減らす取り組みを進めている▼全国安全週間を前に、現場全体で「無理をしない」環境づくりを改めて考えたい。熱中症は誰にでも起こり得る身近な災害であり、一人ひとりの意識と職場ぐるみの対策が重要になる。(鴎)
2026年6月4日
 来春に卒業を迎える大学生らの採用選考が6月から解禁された。解禁とは名ばかりで、すでに70%を超える学生が内々定を受けているという。人手不足を背景に、学生優位の「売り手市場」が続く▼内々定を得た学生のなかでも、その3割がより理想とする職を見つけようと就活を続けているんだとか。のちの雇用のミスマッチを避けるためにも▼他方、求人需要と求職需要のミスマッチもある。社会に欠かせないエッセンシャルワーカーの一つ、建築・土木・測量技術者の有効求人倍率は7・59倍(26年3月、鳥取労働局労働市場月報)と、極めて高い水準にある。解消する手立てはないものか▼AI(人工知能)では代替できないブルーカラーが徐々に見直されていくと聞くが、若い人には手に職をつける仕事の価値にもっと目を向けてほしい。(鷲)
2026年6月3日
 マインクラフトというゲームをご存じだろうか。小中学生に人気のゲームで、立方体のブロックにより構成された空間を冒険でき、ブロックを配置することで自由に建築物や構造物などを作れる内容となっている▼このゲームを使ったコンテストなども開催されている。そのコンテストは、子供の自由な発想で、こんな橋があったらと思い描く「未来の橋」や、工事現場で活躍する「未来の働く車」を制作するというもの▼これ以外にも、都市のレイアウトが変化することで生じる交通需要に応じ、道路や橋などを配置し、交通渋滞を防ぐゲームや、市長となって、インフラ整備や財政管理などを行い都市を発展させていくゲームなども▼ゲームをプレイしたことで、興味があることや、将来就きたい職業などが見つかったりするかもしれない。ゲームは使い方によっては教材として活用できる。ゲームの持つ可能性を生かさない手はない。(雛)
2026年6月2日
 6月に入り、建設関連団体の定時総会もピークを越えた。毎年数多くを取材するが、団体の規模や会場も大小さまざま。駐車場が満員だったことも経験しているから、いつも早めに現地に向かう▼業界のトップから多くの話を聞く。「中東情勢の影響」「人材確保と育成」「県民生活の守り手」。ある業界からは「今年度前半から発注量が多く、会員は多忙な毎日」という、うらやましい声も出たが、やはり「人が足りない」▼小規模だが特殊な役割を持つ団体は専門性の高さを強くアピールする。総会終了後の記者との雑談では「オンリーワン」の存在にならなくては、と聞いた▼水などのライフラインを担う人達は責任も重いが、やりがいを感じる、と心強い。目指すは専門性を高め、普段から多くの人が頼る唯一の専門家として、存在感を示して行きたい。(鷺)
2026年6月1日
 最近、昭和の営業マンを描いたお笑い動画をよく見かける。パワハラすれすれの叱責、気合で乗り切る長時間労働、強引すぎる商談。令和なら即問題になりそうなのに、その異様な勢いが妙に可笑しく、なぜか元気をもらえる▼昨年は「昭和100年」が話題になり、懐かしい映像が数多く掘り起こされた。時代錯誤と分かっていても、あの頃の「日本をもっと良くする」という熱量には、どこか引き込まれるものがある▼米子市は今年、水道事業100周年を迎え、水と人々の関わりを伝える史料を展示している。当時の写真や図面の数々からは、安全な水を各家庭へ届けようとした人たちの情熱が垣間見える▼効率化やコンプライアンスが重要なのは言うまでもない。それでも、地域を支えるという仕事の誇りと気概は、これからも変わらず受け継がれてほしいと思う。(鸛)
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