コラム

2026年7月22日
 「TKB48という言葉がわかるか」。3年ほど前にそう聞かれ「ご当地アイドルの名前?」と答えると防災活動に取り組む人達から「まだ浸透していないな」▼避難所の環境を大きく改善する基本的なイニシャル。「T」はトイレ「K」はキッチン「B」はベッド。「48」は災害発生から48時間以内に普段通りの生活ができる環境をその場所に整えることをいう▼災害が多く発生するイタリアでは、日本では無理だと思われたこの体制を40年以上前に実現している。我が国はどうか。空調設備のない体育館で雑魚寝。冬でも冷たい弁当。トイレの問題など、避難所の状況は昔から少し変わっただけ▼防災庁の設置が実現する。災害時には全国どこでも同じ対応が可能なTKB48の体制を築く。ハードルは高いが、国民を守る重要な対策に長い時間をかけてはいけない。(鷺)
2026年7月21日
 昔、花火師に聞いた。「観客が見るのは数秒。でも、仕事は何カ月も前から始まっている」と。花火玉を作り、色や開き方を考え、打ち上げの方向や順番を練る。その一発に費やす時間は、夜空に咲く時間の比ではない▼当日は打ち上げ場所の設営、安全確認、警備、交通規制など、多くの人が準備を重ねて初めて、感動の一瞬を届けることができる▼建設もまた同じだ。完成した構造物だけが仕事ではない。測量や設計、積算、予算編成、関係者との調整、そして議会での議論。人知れぬ工程の先に、ようやく現場は動き出す▼市民の審判を経て、新たな顔ぶれで始まった米子市議会。議場で交わされる言葉は、花火のような華やかさはない。それでも、その一つ一つが、数年後の米子の風景を彩る土壌となる。大輪の花は、一瞬では咲かない。(鸛)
2026年7月16日
 子どもによる交流サイト(SNS)の利用を巡り、世界的に規制の動きが広がっている▼オーストラリアが、世界に先駆けて16歳未満の利用を禁止する法律を施行。欧州連合(EU)加盟国ではドイツ、フランスなどが年齢によって規制する方針を打ち出している。中毒性を誘発する設計が発達段階に悪影響を与えていることなどを問題視。EU全域で年齢制限に踏み切る見通しという。日本でも一定の議論が巻き起こりそう。規制は必要な議論だが、禁止すれば解決するのか▼業界ではAIの活用場面が広がっている。外観検査や検査写真の自動分類など。一方で、下請けがAIで作成した著作権侵害物を自社で受け取ってしまうなどの落とし穴も。情報モラルはもちろん、結局は、物は使いようなのだが。(鴛)
2026年7月15日
 土用の丑の日が近づき、店頭に鰻が目立つようになった。今年は稚魚が記録的な豊漁というから、つい値札に目が向く▼沖縄美ら海水族館で話題のムラサキヌタウナギは、名こそウナギだが顎を持たない原始的な魚類。淡水に弱く、体表の寄生虫を落とす従来の処置が使えなかった▼そこで採用したのが、サメ飼育用の人工羊水を応用した溶液。宿主には害を及ぼさない一方、寄生虫には居心地の悪い環境を作る発想で、特許も取得したそうだ▼組織は往々にして、過去の選択や成功体験に判断を縛られやすい。危険な動線や使いにくい設備を残したまま、注意喚起だけを重ねていないか。人を責める前に、失敗しにくい環境へ変える―時には「いつもの道」を外れることも、解決への近道になり得る。(鵯)
2026年7月14日
 梅雨明けとともに響き始める蝉の声。今年は中国地方でも平年より早く梅雨が明けたが、「例年より鳴き声が少ない」と感じた人もいるのではないだろうか▼近年は、異常な暑さが蝉の生態に影響を与えている可能性が指摘されている。気温が高くなり過ぎることで羽化や繁殖に影響が及ぶほか、地中の乾燥や豪雨など、気候の変化も一因とみられている▼夏の風物詩として親しまれてきた蝉の声が変わりつつあることは、私たちを取り巻く環境が少しずつ変化していることの表れなのかもしれない。何気なく耳にしてきた自然の音だからこそ、その違いは気候変動を身近に感じさせる▼厳しさを増す夏は、屋外で作業する建設業にとっても、安全への備えを改めて考える季節といえそうだ。(鴎)
2026年7月13日
 中国地方が8日、梅雨明けした。平年より11日早く、昨年よりも11日遅い。県内に厳しい暑さが一気に到来▼6月下旬には記録的な熱波がヨーロッパ各国を襲っており、フランスでは平時の死者数を上回る超過死亡が千人を超えた▼ヨーロッパでは従来から気温30度を超える日は少なく、死者数が増えた要因には、エアコン普及率が2割にとどまっていることが指摘されている。古い街並みの景観を守るため、集合住宅に室外機の設置を規制する地区もあるという▼県は27年度から県立高校体育館にエアコンの設置を検討している。熱中症は屋外よりも、熱がこもる屋内が危ない▼避難所に指定されている体育館もあり、防災面からも整備が急がれる。大空間を冷やす必要があり、ネックはやはり設置予算の確保か。長い年月がかかりそうだ。(鷲)
2026年7月9日
 先日取材した先で「心理的安全性」という言葉を聞いた。自らの考え方を安心して発言できる度合いのこと▼その取材で、ある会議で意見が出るたびに「それは無理だ」と即座に否定されて、次第に意見が出なくなったという事例が挙げられた。職場に緊張感は大事だが、ストレス社会の中、心理的安全性はもっと大事だ。以前からある手法に「否定しない会議」がある。何でもいいから意見を出し、決して否定しない。言いやすい雰囲気をつくり、数多くの提案をしてもらうことに注力する。出た意見からいくつかピックアップし、次回会議で議論する▼いつの時代もベテランにとって若手は新人類だ。そんな若手を懐深く受け止め、「違って当たり前」と笑い飛ばす。緊張と緩和がなければ続かない。「だらける」ではない、職場の心理的安全性を大切にしたい。(雛)
2026年7月8日
 近ごろの若い人の多くは話し方がうまい。メディアのインタビューに答える運動選手は受け答えも難なくこなす。若い人材を対象にした技術研修会や発表会を何度も取材したが、仕事を忘れて聞き入ってしまうことだってある▼いつもの取材先では監督員と協議中の人達を見かける。余裕の表情で話す名の知れた技術者の横に同行した若手が座り、手帳に協議の内容を書き込んでいる。若い彼がひとり立ちする日が待ち遠しい▼こうした打ち合わせの場では、短い時間内で相手に業務の状況を的確に伝えることが大切。話し方の向上に力を入れる企業もある▼発注者との協議を終えたベテランと少し話した。「若い時は、相手からの難しい質問に取りつくろった言葉で返事をしないこと。何度か失敗した」。ほろ苦い経験が、その後の成長と自信につながる。(鷺)
2026年7月7日
 机の引き出しを整理していたら、古いワイヤレスイヤホンやモバイルバッテリーが出てきた。処分しようとして手が止まる。「これ、どうやって捨てるんだっけ」▼どれもリチウムイオン電池を使った製品だ。調べてみると、小型家電として扱うものや電池として分別するものなどがあり、思った以上に複雑だった。ごみ処理施設などで火災が相次ぎ、米子市でも分別回収が始まったのも頷ける▼先日取材した業界団体の勉強会でも、同じような「迷い」が話題となった。ナフサ由来資材の設計変更要領を巡り、「養生マットは対象か」「型枠用合板はどうか」といった質問が出た。県担当者は「まずは相談してほしい」と応じた▼整理しようとして初めて見えるものがある。制度もまた、線引きだけでは整理しきれない。その隙間を埋めるのは、現場との対話なのだろう。(鸛)
2026年7月6日
 本格的な夏が訪れ、必需品とされるエアコンの商戦が盛り上がっている▼来春に省エネ基準が厳格化され、基準に達していない製品が製造販売できなくなる「2027年問題」。新型の販売価格の上昇が見込まれる対策として、現行品の駆け込み購入が発生。新基準に適合した製品は製造コストがかかるため、値上がりは避けられないという。一方で、省エネ性能が高ければ光熱費は削減できるため、トータルで見れば変わらないとの見方も。それぞれがどう判断するかということか▼基準といえば、国と県の工事成績を巡り、とある意見が。総合評価方式の入札で、それぞれの配置技術者の工事成績が使用できる中、評定の基準に差が見られ、検討が必要ではないかという話。これまた、どう見るかという問題だろう。(鴛)
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