コラム

2026年6月18日
 「昔はこんな雨の降り方ではなかった」―そんな声を耳にする機会が増えた。「線状降水帯」という言葉も、今では珍しいものではない。今年も沖縄県で大雨が発生するなど、局地的な豪雨への警戒が高まる▼大雨への備えと聞くと、何を思い浮かべるか。ハード面では「水を完全に防ぐ」のではなく、「降った雨をどう受け止め、どう流すか」という考え方が重要になっている。例えば、道路の下の排水管、地下の雨水貯留施設など、普段は気付かない場所でさまざまな対策が進められる▼雨の量や降り方が変われば、街に求められる機能も変わる。これからのインフラ整備は、自然災害から暮らしを守るという役割が一層大きくなる▼地元建設業は、目立たないところで地域の安全を守る担い手。激しい雨が増える時代に、建設技術が果たす役割はますます重要になる(鴎)
2026年6月17日
 自宅近くの田んぼでは大半が田植えを終えている。市場関係者によれば、高値が続いた米は、これから徐々に安くなるという。理由は、秋になれば新米が出回り、昨年収穫した米は古米になるから。しかも在庫は多いという。古米になれば、価格はぐんと下がる▼一方、建設資材は高騰のまま。中でもナフサ由来の防水材や塗料は依然、品薄になっている。資材単価の上昇分を価格転嫁できないと、人件費にしわ寄せが行き、人手不足にも拍車がかかる▼工期の長い現場、大型工事の契約には、二の足を踏むことだってあり得る。砂丘に計画されている高級ホテルは9月着工のスケジュールと聞いていたが、その後、契約の行方は▼コロナ禍や資材の高騰を受けて、2度にわたり開業を遅らせてきたが、28年12月末のオープンもかなり雲行きが怪しい。(鷲)
2026年6月16日
 先日、「ホワイトハラスメント」という言葉を目にした。これは、容易な仕事に限定するなど、過剰な配慮によって部下の成長機会を奪う行為を指す▼昨今、「パワハラ」などを恐れて厳しさを避ける指導が広がる中、適切な指導の在り方が求められている。重要なのは、厳しさの有無ではなく、その質ではないか▼建設業ではかつて、「見て盗め」という場面も多く、これを厳しいと感じて離職につながるケースも。そんな状況を変えるため、働き方や指導方法の見直しが進められてきたが、配慮するあまり、必要な注意や指導まで控えてしまう状況が生まれ、新たなホワハラという言葉が聞かれるようになったのだろう▼厳しいか、優しいか、それは一辺倒ではダメなのだろう。結局はどんな場面でも「過ぎない」ことが、改めて大切だと感じた。(雛)
2026年6月15日
 この時期らしい天候だ。蒸し暑い日は多いが、雨が続けば肌寒い時間帯も増える。梅雨の時期はいつもこんなものだ。台風も上陸して太平洋側は被害も発生。県内は比較的おだやかな毎日が続くが、油断はできない▼この季節になると防災に携わる多くの専門家が過去の大災害を検証する。一部地域に集中した想定外のゲリラ豪雨などの要因を語るが、何よりも豪雨の中、暗闇の道を避難することが「どれほど危険なことなのかを思い知る」と▼初動段階でどれだけ的確な指示を出せるのか。瞬時に決めなければいけないことは多い。限られた人数で対応する小規模な自治体にとっては難しい問題だろう▼土木に携わる民間の技術者も不測の事態には対策を総合的に判断して実行する技術力が求められる。瞬時の判断は現場での豊富な経験がなければ出せない。(鷺)
2026年6月11日
 ノーベル平和賞受賞者のワンガリ・マータイさんが「MOTTAINAI」を世界に紹介してから20年余り。使えるものは繕い、受け継ぎ、最後まで生かそうとする日本人の美意識として注目を集めた▼だが、こと家に関しては少し違う景色が広がる。空き家が増え続け、2043年には住宅の4戸に1戸に達するとの試算もある。戦後、「いつかはマイホーム」は多くの家族の夢をかなえてきたが、子が親と同じ土地で暮らし、家を受け継ぐことが当たり前ではなくなった▼「勿体」とは、本来あるべき姿や備わった価値を指す言葉だという。その価値を生かし切れない惜しさが「もったいない」なら、住み継ぐ、使い直す、別の価値を見いだす営みにも目を向けたい。「もったいない」の国で、家の価値を見つめ直し、次へ手渡す知恵も問われている。(鸛)
2026年6月10日
 きょうは「歩行者天国の日」。1973年の同日、銀座から上野まで、車の通行を禁じ、歩行者に道路を開放する企画が実施されたのが起源。車の急増に伴う事故増加や環境問題への配慮から、歩行者優先の交通への転換が求められたとか。各地に広がり、沿線の出店、賑わい創出事業の開催など活性化策として採り入れられる▼米子駅前通りの一部で、車道4車線を1車線減らし、歩行空間を広げる実験が続けられた。市は恒常的な空間拡大を目指すが、効果を巡る否定的な意見も。「渋滞の懸念などデメリットも想定されるが、歩く人が増えることで生まれる賑わいや健康増進、公共交通の維持といったメリットを追求したい」と市長▼21日投開票の市議選の立候補予定者の間でも賛否が割れており、主張が気になる。(鴛)
2026年6月9日
 五月の終わり、稲の移植を終えた田のほとりで蛍を見た。淡い光が梅雨入り前の夜気に漂い、しばし足を止めて眺めた▼明けて六月の異名は水無月。「水が無い月」と書くが、「無」は古語で助詞の「の」に当たり、本来は「水の月」なのだとする説がある。一方で旧暦六月は現在の七月頃のため、梅雨明け後の本格的な暑さに文字通り水が枯れ尽きる様を表しているとも▼豊かさと乏しさが同居した字面は、水の持つ二面性にも通じる。田を潤し、稲を育てる水。しかし度を越せば線状降水帯、内水氾濫といった脅威に変わる。その境目に建つのが河川・砂防施設などの社会基盤だろう▼人知れず整備された排水路のほとりで、今夜も蛍が光る。淡い明滅は、水と人が紡いだ一時の静けさに揺れている。(鵯)
2026年6月8日
 近年の夏は「これまで通り」が通用しなくなる。気象庁によると猛暑日の増加傾向が続き、今年も早い時期から厳しい暑さが予想。熱中症は屋外だけでなく室内でも発生し、十分な睡眠や朝食、水分・塩分補給など日頃の体調管理が予防の基本となる▼こうした中、屋外作業が中心の建設業界では熱中症対策の強化が急務だ。空調服やミストファンの導入、休憩時間の確保に加え、作業時間を見直す動きも広がる。大手ゼネコンでは猛暑期に始業時間を早める「サマータイム」を導入し、気温の高い時間帯の作業を減らす取り組みを進めている▼全国安全週間を前に、現場全体で「無理をしない」環境づくりを改めて考えたい。熱中症は誰にでも起こり得る身近な災害であり、一人ひとりの意識と職場ぐるみの対策が重要になる。(鴎)
2026年6月4日
 来春に卒業を迎える大学生らの採用選考が6月から解禁された。解禁とは名ばかりで、すでに70%を超える学生が内々定を受けているという。人手不足を背景に、学生優位の「売り手市場」が続く▼内々定を得た学生のなかでも、その3割がより理想とする職を見つけようと就活を続けているんだとか。のちの雇用のミスマッチを避けるためにも▼他方、求人需要と求職需要のミスマッチもある。社会に欠かせないエッセンシャルワーカーの一つ、建築・土木・測量技術者の有効求人倍率は7・59倍(26年3月、鳥取労働局労働市場月報)と、極めて高い水準にある。解消する手立てはないものか▼AI(人工知能)では代替できないブルーカラーが徐々に見直されていくと聞くが、若い人には手に職をつける仕事の価値にもっと目を向けてほしい。(鷲)
2026年6月3日
 マインクラフトというゲームをご存じだろうか。小中学生に人気のゲームで、立方体のブロックにより構成された空間を冒険でき、ブロックを配置することで自由に建築物や構造物などを作れる内容となっている▼このゲームを使ったコンテストなども開催されている。そのコンテストは、子供の自由な発想で、こんな橋があったらと思い描く「未来の橋」や、工事現場で活躍する「未来の働く車」を制作するというもの▼これ以外にも、都市のレイアウトが変化することで生じる交通需要に応じ、道路や橋などを配置し、交通渋滞を防ぐゲームや、市長となって、インフラ整備や財政管理などを行い都市を発展させていくゲームなども▼ゲームをプレイしたことで、興味があることや、将来就きたい職業などが見つかったりするかもしれない。ゲームは使い方によっては教材として活用できる。ゲームの持つ可能性を生かさない手はない。(雛)
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