コラム

2025年11月28日
 子どもの頃に見た祭りの情景を、ふと思い出すことはないだろうか。心が躍った体験ほど、時間がたっても色あせず残る。地域への親しみも、そんな記憶の積み重ねから育まれるのかもしれない▼米子がいな万灯振興会の創立40周年式典で、印象的な話を耳にした。幼い日に見上げた万灯への憧れが、そのまま地元企業への就職につながった若者がいるという。企業・団体のチームで熱演に興じる万灯を見て、「自分もあの一員に」と思う気持ちが芽生えたのだろう。人口減少が続く地域で、祭りや伝統芸能が若い世代の背中をそっと押す姿に、静かな希望を感じた▼各地の祭りが人手不足で存続の難しさに直面する中でも、子どもたちは大人の姿をしっかり見ている。祭りを守ろうとする思いに加え、心から楽しむ姿こそ、未来の担い手や働き手を育む力になる――そんな循環が続くといい。(鸛)
2025年11月27日
 自民党内で、にわかに衆議院の1月解散論が浮上しているそうだ▼発足から1カ月が経過した高市早苗政権の支持率が、各種世論調査で高水準を維持していることが背景。年内の経済対策、来年度予算編成を踏まえ、来年の通常国会冒頭の「ハネムーン期間中」に解散総選挙に踏み切るべきとの声があるという。自民党と日本維新の会の連立合意に明記された衆院議員定数削減の是非を問えば、さらに民意が傾くとの観測も。一方、自民党そのものの政党支持率は伸びておらず、政権支持率と連動していない。この乖離が悩みとか▼乖離といえば、業界の予定価格と実勢価格の差。資材価格高騰などを背景に、業者が応札に踏み切れない原因となっており、悩みは尽きない。こちらも対策が必要だ。(鴛)
2025年11月25日
 秋は人権研修が多く開催される。近年は「アンコンシャス・バイアス」と事あるごとに耳にするのでは▼無意識の思い込み、と訳される。実際にあった事例では「彼氏/彼女はいるの?」「1杯ぐらい飲めよ」といった、当人にとっては安全圏の発言から訴訟に至ったケースも。関西弁なら馴染み深い「アホ、ボケ」もアウト判定だ▼対話は例え日本語話者同士であっても、常に翻訳機を通して喋っているようなもの。各々の思想や背景というフィルタを介せば、同じ言葉でも全く異なる意味を宿す。無意識に生まれた解釈の幅は、時に意図的な揺らぎでもって拡大する▼況や多言語社会をや。現場でも外国籍と思しき技能者が増えつつある。ずれた杭がひずみを生むように、たった一言が関係性の「存立危機」を招きかねない。(鵯)
2025年11月21日
 今年も残り約40日。12月が近づき、どことなく街なかからせわしなさを感じる。旧暦12月は師走。師(僧侶)ですら走り回るほど忙しいという意味だが、昔も今も年の瀬は誰にとっても忙しいものなのだろう▼建築の下請けに入る東部の業者は「年度後半になってから忙しくなってきた」と話す。東部では大型建築工事がここ1、2カ月で立て続けに入札されたので当然といえば当然だ。その業者は「もう少し忙しさが分散してくれたら」と続ける▼発注者側も工事が集中しないよう、発注時期の平準化には取り組んでいる。ただ、土木にしろ営繕にしろ、用地や施設側との折り合いなどで予定していた発注時期よりずれ込むことも▼発注の平準化は最早、受発注者だけの問題ではなく、住民側の理解という面も関わってくる。(隼)
2025年11月20日
 「鶏が先か、卵が先か」という言葉は有名な問いである。古代ギリシャの哲学者たちから今日まで長きにわたり議論されてきたテーマの1つと言える▼街が発展するにつれて道路が必要になるのか、それとも道路の建設が街の発展を促すのかーこれも似たような問いである。街と道路には循環的な関係が存在しており、現代では、この両方の視点から計画的なインフラ整備が進められる▼街の発展に欠かせない1つの要因として人の数が関係する。もちろん人口が増えると商業活動が活発になり交通量が増加。需要を促すためにインフラとして道路が整備される▼人口増減ランキング2025で県内全ての市町村で人口が減少した。人口の増減と街の発展も鶏卵問題と同じようなことかもしれない。人口増の対策に期待したい。(鴎)
2025年11月19日
 個人が手軽に情報発信できるSNSの普及が思わぬ「炎上」を引き起こす。先日、鳥取駅前の活気のなさやインフラ整備の遅れに、「(地元)政治家の力がないことを実感した」などと、自身のブログに書き込んだ元衆議院議員宮崎謙介氏の投稿に注目が集まった▼さっそく平井知事が県内の観光地を案内し、再訪問した宮崎氏も「言葉足らずだった」と陳謝したという。地元政治家とは石破茂前首相のこと▼地元への利益誘導とも捉えられかねず、政治家にとっては神経質になるところだが、ある意味、宮崎氏は県東部の住民の声を代弁してくれていると言える▼宮崎氏は平井知事と別れた後、レンタカーを自ら運転して米子から鳥取まで移動。インフラ整備の必要性について、あらためてブログにつづった。「やはり意見は変わりません」と。(鷲)
2025年11月17日
 日々、生活していると、自分の中で「普通のこと」だと思っていることが他人にとっては普通ではないと気付く▼あるSNSの投稿が話題を集めていた。その投稿では「無言の帰宅」という文が使われていた。報道でよく聞く言葉であるが、言葉の意味を理解していない反応があり、最近の若い世代のテレビ離れも影響しているのではという意見があった。この点は、気を付けなければいけないことだと感じる。知らないことは知らないのだ。記者としても知らないことがたくさん。常に勉強だなと感じている▼スマホなどで手軽に計測、測量ができるLiDARをご存知だろうか。その照射するレーザー光がスマホのカメラを破壊するという話を聞いた。知っている人は当たり前と思うが、学びを得た▼多くの人の目に触れる記事を書くにあたり、分かりやすくより良いものを届けていきたい。(雛)
2025年11月14日
 冬支度を急ぐ人が多い。ひと月ほど前までは半袖姿の人も多く歩いていたが、秋支度をすることもなく、季節は一気に冬を迎えるのか。雪を前にして山間地の建設現場はどこも忙しい▼担当する技術者はどんなに条件が悪かろうが、仕上げなければいけないし、工事成績も頭から離れない。そして、自分自身を含む現場スタッフの健康に気を配らなくては、冬を乗り切れないと聞く▼こう話す技術者と最初に会ったのは彼が20代の時。30歳を少し過ぎた頃に初めて県の優良工事に選ばれて「建設業で働く若者の将来が明るく見通せる時代にならなくては」と語った彼も40歳を超えている▼後輩を指導しながら「技術の基本は今も昔も一緒。自分の経験は伝えても、自らの考えを押しつけないようにしている」と話す。幾度も体験した冬場の現場が今年も近づく。(鷺)
2025年11月13日
 数年前、山あいの国道を走っていて、道の真ん中を歩くクマと出くわした。黒々とした毛並み、地を押しつけるような前足の太さ。ほかの獣とは明らかに違う圧を放っていた。襲われるかもしれないという恐怖よりも、人の道を当然のように歩くその自然さに、境界の揺らぎを強く感じた▼かつては山と里の間に、畑や薪場、子どもの遊び場が広がっていた。草を刈り、水を引き、手をかけることで、人の気配が山の縁を守っていた▼その結びつきが薄れた今、クマは静かに里へ降りてくる。餌の減少と狩り手の退きが拍車をかけ、出没や被害が各地で相次ぐ▼道を築き、斜面を整え、風土と共に生きてきた建設の仕事も、元来、人と自然の間を繋ぐ営みだ。失われつつある境をどう描き直すか。山からの問いかけが、私たちにも向けられている気がする。(鸛)
2025年11月12日
 今年の新語・流行語大賞候補30語が発表され、トランプ関税、コメ価格の高騰で注目された「古古古米」、大ヒット映画「国宝」、企業風土などが入った。「エッホエッホ」「ビジュイイじゃん」「長袖をください」といった小欄には聞き慣れない言葉も▼高市早苗首相が自民党総裁選後の演説で発言した「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」がエントリーされた一方で、石破茂前首相に関する「石破やめるな」がノミネートしていないのが、腑に落ちない県民もいるのではないか▼大賞候補は「物価高」か。話題性と当事者意識が重なる。業界でも資材価格高騰に伴う経営面への影響が顕著で、発注者には一段の配慮が求められている。果たして、物価高が流行しない日は来るのだろうか。(鴛)
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