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2024年12月6日
「ふるさとは遠くにありて思ふもの」(室生犀星)―県外大学に進学した本県出身者のUターン就職率は35%。求人倍率の上昇を背景に、都市部を中心に学生の引き合いが強まっている▼今年3月に卒業した本県出身大学生の就職状況を県がまとめた。県内大学の卒業者で、県内就職率は3割弱。なかでも鳥取大学と鳥取環境大学は2割を切っており、8割以上が県外に流出している▼人材の奪い合いで、建設業の新卒者採用は相当厳しい状況がわかる。県外に出た学生に、地元の情報がほとんど伝わっていない課題があり、インターンシップは有効な手段だという▼冒頭の詩。実は故郷への深い思いからではなく、東京から地元金沢に戻った犀星が、地元になじめず再び帰京する際に詠んだもの。迎え入れる故郷の素地に磨きをかけたい。(鷲)
2024年12月5日
「良いアドリブは良いシナリオから生まれる」とは某映画プロデューサーの持論。脚本にない台詞や演技を即興で取り入れながらも、良いアドリブには「偶然でいて、どこか必然という要素が感じられる」とか▼キャリアデザインの文脈では、クランボルツの唱えた「計画的偶発性理論」が有名だ。名高い実業家に訪れた転機の8割が偶然の出来事と言える一方、経緯を掘り下げていくと、いざという時に行動できるだけの準備が計画的になされていたという▼言い換えれば「良い偶然は良い計画から生まれる」。現場で配管の位置が予想外に変わったとして、知識と経験を武器に適切な方法で対処できた時、技術者の頭の中には詳細な図面と計画があるはず。砂上の楼閣か磐石の城か、分けるのは基礎を固める準備の質だ。(鵯)
2024年12月4日
スポーツ放映権の価格が急上昇している。スポーツの大イベントは、テレビや動画配信サービスの争奪戦に▼放映権の価格が上昇する背景には、スポーツ観戦がもたらす膨大な集客力と広告収入がある。注目を集めるイベントは、スポンサーにとっても魅力的で、視聴率が高ければ広告料も上がる。また、動画配信サービスの台頭も放映権の価格上昇を後押ししている▼しかし、視聴料金が上昇し、視聴者の負担が増えている。これにより、スポーツ観戦から離れる懸念や、スポーツが商業化されることで、本来の魅力が損なわれるという批判も▼放映権の高騰は、業界の活性化に貢献してはいるが、スポーツ文化の継続的な発展のためには、適正な価格設定が必要。建設業では、材料費の高騰が問題となっているが、適正な価格転嫁のための環境整備が求められる。(雛)
2024年12月2日
歴史学を専攻していた大学時代、熊本へ視察旅行に出向いた。熊本城の復元整備事業に対する現地の捉え方を知りたかった▼城は明治時代、天守閣をはじめとした主要な建物が焼失。第二次大戦後、市民の寄付を受けながら天守閣が再建され、平成以降、市が築城400年を記念して一帯の完全な外観復元を進めた▼「町おこしの起爆剤に」と奮闘する人がいる傍ら、「あれにお金をかけず、暮らしを直接よくしてほしい」と案内してくれたタクシー運転手のぼやきも。文化財の保存に関する温度差や溝を感じた▼米子市では「旧日野橋」が存続と解体の間で揺れる。市は近く、アンケートで在り方の民意を問うが、多様な価値観が交錯しそう▼長く文化と交流の架け橋を務めた古橋が、民心の分断を招く結末だけは見たくない。(鸛)
2024年11月29日
自分が子供の頃に比べ、情報が飛び交う時代になったと感じる。一昔前は情報の入手と言えば、テレビや新聞が主流だったが、今ではインターネットで検索すれば、色々な情報が飛び込んでくる▼若い人がタイムリーに情報を入手できる便利な時代になったが、SNSの使い方次第では、自分が欲しい情報しか目に入らないという危うさも持つ▼「建設業 ブラック」と検索すれば、過酷な肉体労働などマイナスの情報が多数飛び込んできて、業界全体がきつい職場だと思ってしまい、将来の選択肢から外す若者が多い▼先日の取材で、建設事業者と意見を交わした大学生が「業界のネガティブなイメージが変わった」と話してくれた。担い手確保のためにも、若い人に業界の今の姿を伝えていく姿勢が、これからも欠かせない。(燕)
2024年11月28日
土の中を探る仕事がある。埋蔵文化財や地質の調査。井戸の掘削などが思い浮かぶ。いずれも、その土地の歴史や地形を理解し、経験に基づく知識と高度な技術や技能が必要。この人達は土の中が見えるらしい▼井戸は、はるか昔から使われている。諸説はあるが、日本でその重要性を広めたのは「空海(弘法大師)」だと聞く。探査や掘削の技術は大きく進歩したが、やはり優れた「職人」の技は今も欠かせない▼県さく井協会が毎年、県内各地に防災のための井戸を寄贈する活動も20年になる。災害時には飲料水だけではなく、生活用水の確保が難しい。水さえあれば多くの人を救える▼一つのことを長く続けることは難しいが、災害時にはどれだけ水が必要なのかを伝える。寄贈式では毎年、地域の人達の笑顔と感謝の言葉が届く。(鷺)
2024年11月27日
所得税が発生する年収の境目「103万円の壁」の引き上げを巡る論戦が盛んだ▼パートやアルバイト従業員の手取り収入を増やし、就業調整を防げる利点がある一方、国税である所得税にとどまらず、地方税である個人住民税も、所得割部分の非課税ラインが連動して上昇することになる。大幅な税収減が想定され、全国知事会などは反対。これを踏まえ野党党首が「総務省が自治体に反対を呼び掛けている」と指摘し、総務相が否定するなどの応酬も。関係者の隔たりは大きく、来月中旬の税制改正大綱での決着は見通せない▼引き上げといえば、業界では、予定価格の積み増しを求める意見をしばしば聞く。これも担い手確保や賃上げにつながる方策といえる。予定価格の上限拘束性の撤廃を含め、活発な議論があっていい。(鴛)
2024年11月25日
様々な意思決定において「勘」と「データ」のどちらを重要視するかは人によって分かれるが、6割の企業が勘に頼るようだ。勘とは曖昧なものだが、時にすごい力を発揮することは多くある▼勘とはなにか。欠かせないものの一つに「経験」がある。パナソニックの創業者松下幸之助は「習練を積かさねた勘は科学も及ばない正確性、的確性がある」―と名言を残す。限りない経験、そして失敗が感覚を磨き、勘と呼ばれる特殊な能力を身につけさせたと言えるかもしれない。女性の勘の鋭さは経験とは違うなにかだと思うが…▼技術者が管理する建設現場に同じものはない。このように話す技術者は多い。設計通りに上手くいく現場は少なく、技術者たちは自身の経験そして勘をもとに最善な工法を導く(鴎)
2024年11月22日
今の世の中、スマホ一つあれば日常生活を送るのに困ることがない。むしろスマホがなければ生活に支障が出るまでであり、IT技術の進歩に驚かされるばかりだ。それもこの10~20年の間のこと。アナログ時代の生活がもはや思い出せないことも▼ここまでデジタル化された世の中で、不測の事態への対策を取っている人がどれだけいるのか。恐らくその割合は少ないのだろう▼不測の事態は何も災害時に限った話ではない。スマホの紛失、電子機器のウイルス感染など日常的なケースも考えられる。そのような際、連絡手段は途絶え、一気に社会から孤立してしまう▼建設業でも電子入札やICTの普及など、デジタル化は進んでいる。不測の事態が起きた際のバックアップ体制は本当に適切か。今一度見直してみては。(隼)
2024年11月21日
京都の著名な外資系ホテルで昼食にマグロ丼を注文しようとしたところ、その額なんと2万4000円。なにか特別な素材や調理法が使われているわけでもない、ごく普通のマグロ丼だ。インバウンド狙いにしても強気だとは思うが、しっかり値上げしているところは流石▼「良いものをより安く」の精神は消費者にとって嬉しいもの。しかしグローバル化が進んだ今日、そうとばかりは言っていられない。良いものを作るには優れた職人や技術、高い原価が必要になる。安く提供しようと思えば割を食うのは従業員や仕入先だろう▼今年も優良表彰の時期に。栄誉を称える機会はもちろん必要だが、誇るべき技術を身につけた彼らが安く買い叩かれることのないよう、仕組みや制度で支えていくことも忘れないでほしい。(鵯)
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