コラム
みちしるべ
2019-05-30
先日、20年以上前に通った小学校への通学路を歩いてみた。老朽化してボロボロだった階段は真新しくなっており、歩道も大人が十分にすれ違えるほどの広さになっていた▼登下校中などの児童が不幸な事故や事件に巻き込まれるというニュースが絶えない。最近でも、「通学路に通り魔」「散歩中に車が突っ込む」などの痛ましい事件が続いて発生している▼近年では、スクールバスの普及や地域の人や保護者たちが見守り隊として、登下校に付き添うなどの活動が広がっている▼スクールバスの導入が増えているのは、少子化による学校数の減少が原因の一つだろうが、歩く子どもが少ないのは活気がなく、寂しいような気もする。しかし、これが登下校の安全安心を考慮した結果であれば応援したいと強く思う。(雛)
みちしるべ
2019-05-29
4月にあった知事選の関係で、骨格編成となっていた県の2019年度予算。来月7日の6月定例会開会を前に県土整備部は24日、過去最大級という250億円余の肉付け予算を県議会主要会派に説明した▼この補正により今年度予算は、前年度を51億円(11%)上回って総額517億円になる。県下五つの県土整備所局も今年度の分母が確定することで、いよいよ本格的な工事発注が始まる▼インフラ整備は地域の礎。災害対応をはじめ県民生活の安全安心や地方創生など、さまざまな創意工夫はすべてインフラ整備という大きなベースの上に立つといっても過言ではない▼地域を支え、地域を守る建設業は安定的で持続的な予算の伸びがなければ、担い手育成や働き方改革にも向かっていくことはできない。(鴉)
みちしるべ
2019-05-28
山陰道の鳥取西道路が完成して2週間が過ぎた。通勤や仕事で利用する人は、どのインターで乗り降りするのが一番早いのかを考えるなど、選択するルートは増えた▼一方、渋滞する区間が多かった国道9号の流れが確実にスムーズだ。これまでは、朝・夕の時間帯だけではなく、観光シーズン。そして積雪時や事故による大渋滞に何度も巻き込まれたことがある。今年の冬はどうか▼余計な心配かもしれないが、観光や仕事で県内を訪れるドライバーの多くは自動車道に乗り、直接目的地に向かうだろう。過去の例を見ても、営業を取りやめた旧道沿いの店舗はたくさんある▼通過点にしてはならないという危機感をだれもが抱く。物まねではない新しい戦略を考えなければならないが、これもまた難しい。(鷺)
みちしるべ
2019-05-27
2018年度の「人手不足」関連倒産は、全国で前年度比28・6%増の400件発生していた。東京商工リサーチ調査によるもので、過去最多だった15年度の345件を大幅に上回った。この内、建設業は全体の2割りを占める82件。その要因は、代表者の死亡や引退などの、いわゆる後継者難型が最多で、全体の6割以上を占めてた。次いで人手確保困難型、賃金アップ等の人件費高騰型と続き、人手不足対策が最大の課題となっていることを物語る▼従来の収益悪化型倒産は近年減少傾向にあるが、人口減少等の社会構造変化による現代型の倒産が昨今の特長となっていることを鑑みれば、「人」対策は一朝一夕で解消される問題ではないものの、地域経済を守るためにも、さらに智恵と工夫が求められる最重要テーマだ。(雀)
みちしるべ
2019-05-23
女性独自の視点で鳥取県の建設業を盛り上げようと、県内の建設業に携わる女性たちが集まって「とっとり建設☆女星ネットワーク」がこの4月に設立された。建設業の魅力発信や、若手技術者の悩み事相談などの活動を通して、建設業の活性化、地域社会の発展を目指す▼建設業は未だに男性中心の産業で、女性用のトイレや更衣室が無いなど、女性にとって働きにくいの現場もしばしば見受けられる▼しかし、女性技術者を育成することで、社員同士の会話が増えた、現場の雰囲気が明るくなったなど、多くのメリットも報告されている。ひいては、これらの環境変化が担い手確保・育成にも大きく貢献してくれることもあるだろう▼3Kから新3Kの次代へ変わろうとしている昨今、女性の活躍は不可欠だ。(鴨)
みちしるべ
2019-05-22
県内設備設計最大手のエクス・プラン(米子市)の代表取締役社長で県設備設計事務所協会副会長の宮本秀成氏がこのほど、57歳の若さで急逝した▼5月27日に鳥取市内で開かれる同協会の令和元年度定時総会で会長に選任される予定だっただけに関係者のショックは相当に大きい▼しかも、6月7日に米子市内で開かれる県建築士会西部支部の50周年記念式典にも携わっていただけに、なおさらだ。今後の活躍が期待されただけにその死を惜しむ声は多い▼このほど鳥取市内で開かれた県管工事業協会の総会の後の懇親会の席で、同協会の守山康仁会長にあらためて弔意を表したが、当然ながら、落胆ぶりが見て取れた。社業もそうだが、協会運営の方も悲しんでいる暇を与えない。非情ながら前を向くしかないのが世の常か。(鶯)
みちしるべ
2019-05-21
4月下旬から5月下旬にかけては業界団体の総会シーズン。今年は御代替わりもあり、各団体長があいさつで平成の時代を振り返る言葉が目立った▼平成の時代には大きな自然災害が多発した。平成7年の阪神淡路大震災、23年の東日本大震災、28年の熊本地震。県内でも12年に鳥取西部地震、28年に鳥取中部地震、29年に鳥取豪雪、30年には7月豪雨があった▼これまで多くの自然災害で応急対応と復旧に力を発揮してきた建設業。各団体長とも今後の課題として担い手の確保・育成が第一に挙げられると声を揃える▼自然災害はいつやってくるかわからない。これまでのように地方の建設業者の技術力と機動力を維持し続けることが地域の安全と安心を守る重要な要素だろう。(鷹)
みちしるべ
2019-05-20
令和元年度の県土整備部予算は、10年ぶりに500億円を突破する見通しになった。予算編成中の6月補正で過去最大級の260億円を肉付けし、補正後の総額は529億円規模。前年度同期を60億円も(13%増)上回る▼補助の岩美道路30億円、倉吉関金道路10億円など地域高規格道路は前年比41%の大幅増。交付金事業も「防災・減災、国土強靭化のための緊急対策」によって重点配分された▼中身をみても県内業者向けの仕事量は確実に増えることが予想される。昨年の災害復旧工事を巡る入札不調からしても、ここ20年で業界の機動力は明らかに低下してしまった▼仕事量が一定程度見込まれるなか、急がれるのは若年雇用をはじめとする経営体制の立て直しだ。賃金アップなど待遇改善は待ったなし。業界自らが腰を据えて取り組みたい。(鷲)
みちしるべ
2019-05-17
「祇園精舎の鐘の声諸行無常の響きあり」(平家物語)。「古代インドにあった僧院。サンスクリット語が漢訳で、祇樹給孤独園(ぎじゅぎっこどくおん)精舎」。この省略が祇園精舎で生者必滅の理を表す▼この響きにあるように「音」は時代を表す。明治時代は「文明開化の音」、大正時代は「大正ロマン」、竹久夢二のように「人情の哀音」。昭和時代は「公衆電話からテレホンカードが出てくる音」も。平成時代は▼『擬音語・擬態語辞典』(講談社学術文庫)にも、「音は社会を映し出す」。たとえば「建てつけの悪いドアをあけ、ガタピシと鳴る階段をあがる」。ずっと以前、あった音が今はない▼「すかすか」=容器に対し中身が足りず、隙間が多くある様子。先の10連休には、「ノー」が大半だった。(雉)
みちしるべ
2019-05-16
「百聞は一見にしかず」ということわざがある。意味はご承知の通り。見ることで得られる情報の量や正確性は疑う余地がなく、とても説得力のあることわざだ▼だからと言って、決して聞くことが無駄というわけではない。目に見えない、見ても分からないものはたくさんある。むしろ見えてこないものの方が重要な場合も多々ある▼さまざまなデータや統計から担い手不足は喫緊の課題だと認識できるが、実際に人手不足が起きている現場でどのような弊害が起きているかまでは把握は難しい。問題を解決へ導くには画面や表に現れない事柄を聞き出し、深く掘り下げる作業が必要になる▼報道の使命は情報を正確に、早く、広く発信することだ。建設業界の明るい未来のために何百回も取材し、一見のために百聞する。(雛)