コラム
みちしるべ
2019-06-13
「強靭化緊急対策 年度末までに5兆円」。休日を毎年着実に増やしていく「休日月1+(ツキイチプラス)運動」、「単価引き上げアップ宣言」、「週休2日 7割が達成」、「海外建設協会18年度受注1・9兆円 過去最高」。こうバラ色の活字が躍る▼「働き方改革」で、建設業も前途洋々に見える。前述したのは最初を除き、建設専門各紙に載った最近の記事の見出し。大企業向けと言えよう▼一方、昨年末の記事で恐縮だが「際立つ『土木』『零細』の厳しさ」。見出しに続け「業種・企業間の格差はっきり」と或る地方専門紙。地方業者の現実だ。県内も今は工事に追われているが、災害復旧工事が大半▼国内全産業の90・7%を占める中小・零細企業。国はここに寄り添ってほしい。いや「寄り添う」べきだ。(雉)
みちしるべ
2019-06-12
先日、取材先に向かう時のこと、工事中のため片側交互通行になっていた。対向車を待つ間、何気なく窓から外を見ると、現場の作業員がくわえたばこをしながら歩いていた。これをもし高校生が見ていたとしたら建設業に入りたいと思うだろうか。高校生に限らず、良い印象を持つ人がいるだろうか▼建設業はサービス業ではないが、外で多くの人の目に留まる。一生懸命に働いている人が大多数であると思うが、一瞬の気の緩みを見た人には、建設業のイメージが決めつけられる心配も▼人々の命や生活を守る工事を行い、素晴らしい建築物を建てていても、たばこ一本や座り方一つで印象が悪くなってしまえば悲しい。建設業の看板を背負っているという自覚を持って、日々の業務に取り組んでいただきたい。(雛)
みちしるべ
2019-06-11
地方自治法施行規則の改正で1999年2月から導入が可能になった公共工事の中間前払金制度。受注者は当初の前払金(請負金額の4割)に加え、工期半ばで2割を追加請求できる▼出来高に対する支払となるため、出来高認定を厳密に行う必要のある部分払とは異なり、要件確認は原則書類のみ。資金繰りの安定化、元下間や労働者への請負代金、賃金支払のトラブル防止で適正な施工に寄与する▼西日本建設業証の調べでは、滋賀県以西の沖縄県までの地方自治体674団体のうち導入しているのは603団体。県内では19市町村のうち10団体が採用。県西部は米子市と境港市に留まっている▼極めて簡易な事務手続きで資金調達が可能となり、法令順守の観点からも適切な対応ができる。選択肢が増えることはありがたい。(鴉)
みちしるべ
2019-06-10
近くのスーパーに行けば簡単に買うことができる農産物も、販売できるまでには相当な時間と手間がかかる。桃・栗3年というが、梨や梅、ゆずなどは植樹後、実が育つまでに相当な苦労がいる▼建設業界で働く人も、やはり長い時間をかけて一人前になる。完成までの工程を思い描く設計や施工業者の技術者。そして、多くの職人が技を駆使して現場を仕上げて行く姿には頭が下がる▼高齢化は深刻だ。業界団体の総会では担い手の確保という言葉を必ず聞く。中には業界への就職を希望しても、保護者の了解が得られずに諦める生徒や学生もいる。幅広い角度でのPR活動を続けたい▼こんな状況だが、第一線の現場で働く若者も多い。久しぶりに会った20代半ばの彼は話し方もずいぶん頼もしくなった。(鷺)
みちしるべ
2019-06-07
5月の県内各地の気温は過去最高、降水量は最低を記録するなど、近年の気象現象は異常といえる日々が続く。6月に入り、これから本格的な梅雨シーズンを迎える。昨年6~7月にかけての西日本豪雨は、県内でも大きな被害をもたらした。自然災害に対する危機意識と対策を日頃から備えておかなければならない▼専門家は、その時に「7割近くの人は避難する」と答えるものの、警報が出ても実際に避難した人は『正常性バイアス』心理が働き僅か数%、という▼年々威力が増す台風や短時間一気集中型の豪雨など、昨今の気象は大きく変化している。平常時から、避難ルートや避難場所、防災グッズ、さらには食料備蓄などの準備・確認を怠ることのないようにしなければならない。異変気象が続く昨今。油断大敵。(雀)
みちしるべ
2019-06-06
3日から今日までの4日間、県下の建設業で働く若手在職者を対象にしたTSの研修会が倉吉市内で開かれている。この研修会は、建設業の慢性的な担い手不足を打開しようと、県中部建設業協会が主催で昨年から始まった▼今の建設業界は、現場で人材を育成する余裕がなく、若者が入職しても、やりがいを見つけられず早期退職するということが少なくない▼しかし、今の時代「仕事は見て覚えろ」では、若者はどんどん業界を離れていく。数少ない若手技術者を育てるには、基礎から指導し、スキルを継承していくことが大切だ▼ただ、人手不足が叫ばれている日本で、そこまで手間をかけられないことも事実。現状は、協会などの主導でこのような研修会を開くことが、人材育成の最善策のように感じる。(鴨)
みちしるべ
2019-06-05
「やってみなはれ…」。明るいナショナルの松下電器産業(現パナソニック)を創業した故松下幸之助の名言だ。物事は何でも「やってみないことには始まらない」▼しかし、机上の理論が重視される今の社会ではどうか。どうしても、失敗を恐れるあまり、なかなか行動に移させない。昔のような寛容さが足りない▼失敗は、人間に考える力を与え、人間を成長させる。日本の教育も自主性、主体性を重んじた「アクティブラーニング」が主流になりつつある。若い頃に失敗はつきもの。多くの人たちが悩みながら成長したはずだ▼先日開かれた、県建築士会東部支部の総会に招かれた鳥取大学で土木を専攻しながら建築を勉強しているという学生の「失敗を楽しむ」活動には共感した。ますます、産官学の連携が必要だ。(鶯)
みちしるべ
2019-06-04
鳥取西道路の開通で県内の山陰道の整備率が85%に達した。これは全国の高速道路の整備率とほぼ同じ。こう聞けば県内の道路整備もそれなりに進んでいる印象だが、すべて暫定2車線で整備されている▼県内の高速道路がすべて暫定2車線なのは鳥取県ぐらい。こう聞けば他県に比べて大きく遅れていると感じるだろう。四国には全線4車線の高速道路が整備されている県もある▼以前に比べれば整備率は随分と上がり、山陰道の全線開通も見えてきた。ミッシングリンクの解消は県民の悲願だが、その先も道路整備に課題はある▼道路建設や河川改修には、自然災害時などに被害を減らす減災の効果もある。災害に強い県にするという意味でも道路整備に対する機運を盛り上げていかなければならない。(鷹)
みちしるべ
2019-06-03
長年にわたり業界に横たわっている難題は工事書類の簡素化だろう。検査の際、「あれこれ書類を求められた」といった声は数多く聞いた。改善が叫ばれて久しい▼「今度こそは何とかしたい」―県土整備部が工事検査課、技士会と一緒になって6月県議会後から根本的に見直す姿勢を見せている。4年前の同じころ、「仕様書に示された内容以上に書類を求めない」とする基本方針を業界に通知。しかし、その後も前進がみられないことに端を発する▼総合評価が始まって以来、受注者側は工事成績の優劣により敏感になった。「少しでも良い点を」と、なおも書類づくりにいそしむ▼工事品質の低下を招かず、受注者と発注者、検査員の3者がいかに歩み寄ることができるか。その答えは「働き方改革」に直接、結びつく。(鷲)
みちしるべ
2019-05-31
元ミスター阪神・掛布雅之氏。本塁打王にも輝いているが、スランプもあった。そんな時に頼ったのが、升田幸三元名人(故人)。氏の答えは簡単だった。「チャンスに緊張したときは、鼻を指でつまんで深呼吸しなさい」▼それ以来、満塁のチャンスに打席に立っても、この仕草をすると不思議と緊張感が消えたという。升田氏と言えばヘビースモーカー。いや、チェーンスモーカー。マッチは朝の一本で済んだ▼タバコ喫煙の起源は、B・C千年頃のマヤ文明。大航海時代の到来で欧州に伝播し、薬効(?)と依存症で急速に世界に広がった。が、近年は健康を害すと「禁煙」が叫ばれ、米国も加盟する世界保健機関(WHO)は撲滅に躍起▼きょうは「世界禁煙デー」。一方、最も怖い「核」は、なぜか野放し。(雉)