米子市上下水道局は、2029年度の運用開始を目指す下水道事業ウォーターPPP(官民連携)の事業枠組み案を固め、26年度から要求水準書の作成に着手する。公共下水道と農業集落排水を一体化した更新実施型とし、10年間の事業期間で維持管理から改築までを包括委託する方針で、VFM(バリュー・フォー・マネー)は約9%を見込む。
市議会都市経済委員会で報告した。同局は23年度に導入の検討を始め、民間事業者や地元企業との意見交換、マーケットサウンディングを重ねてきた。調査では、事業参画に前向きな意向が約6割を占め、一定の参入意欲を確認。一方で、3~4割はグループ組成などに課題があると回答しており、今後策定する要求水準書で地域連携の要件化などにより対応する。
事業方式は、公共下水道と農業集落排水事業を一体的に扱い、対象施設の維持管理に加え、更新まで含めた「更新実施型」を採用する。事業期間は10年間とし、VFMが最大化する条件として設定した。
総事業費の概算は約300億円。対象は公共下水道と農業集落排水に加え、農業集落排水施設の統合事業や雨水管理総合計画に基づく整備も含む。管路約833キロ、処理場15カ所(公共3、農集12)、ポンプ場など広範な施設を対象とする。
運営面では、災害対応も見据え、地域インフラを地元企業が担う体制構築を重視。長期契約となることから、事業者によるセルフモニタリングに加え、発注者側の管理や情報共有の仕組みを整備し、適正な履行を確保する方針。
委員会の質疑では、民間事業者に行政と同様の公共的責任をどう持たせるか、維持管理データの分析と計画への反映の確実性、物価変動下での長期契約リスクなどについて、委員から懸念や注文が相次いだ。局側は、要求水準書への反映や契約条件の工夫により対応する考えを示した。
また、VFM約9%の妥当性を問う質疑があり、当局は「事業規模などにより一概に比較はできない」とした上で、「効果が見込める水準」と説明。事業に占める建設改良工事の割合が高いほどVFMは出やすく、他自治体では10%超の事例もあると補足した。
26年度は要求水準書の作成に着手し、引き続き地元事業者や関係団体との意見交換を重ねながら事業条件の具体化を進める。27年度中に公募手続きに入り、提案審査や優先交渉権者の選定、契約協議などを段階的に実施。これらに約1年程度を見込み、29年4月の事業開始につなげる考えでいる。
