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 東山中学校(米子市車尾)屋内運動場の建て替え設計を皮切りに、米子市が学校体育館の更新に本格着手する。固定式空調の整備を前提に、築30年を目安とした改築・改修を2042年度まで順次進める。これに対し、老朽化した11地区体育館は建築後45年程度を目安に廃止・解体し、学校体育館の開放や新たな地域拠点体育館へ機能を移す方針だ。一見別々に見える学校体育館整備と地区体育館再編は、教育環境の向上、避難所機能の強化、公共施設マネジメントを一体的に進める取り組みとして動き始めた。

東山中改築に着手

 4日に閉会した米子市議会7月定例会。東山中体育館整備の実施設計委託費5151万4000円を盛り込んだ一般会計補正予算を可決した。
 東山中体育館は築47年を経過し、市内でも老朽化が著しい施設の一つ。雨漏りや建物の傾きなどが確認されており、学校体育館更新の第1号として建て替えに踏み切ることとした。現体育館を使用しながら敷地内に新体育館を建設し、完成後に既存施設を解体する計画で、27年度の着工、28年夏ごろの完成を見込む。
 新体育館は固定式空調や断熱性能を備え、教育環境の向上に加え、災害時の避難所機能も強化する計画。市は市内34校35棟の学校体育館について、42年度までに固定式空調を整備する方針を掲げた。
 築30年以下は改修、築30年超は改築を基本とし、年1施設程度のペースで更新を進める。改築は1棟当たり約6・5億円、改修は約1・5億円を見込み、総事業費は約120億円に上る見通しだ。試算額は、2023年度に整備した福米西小学校体育館の事業費を基準としているが、資材価格や労務単価の上昇などにより、実際の整備費は変動する可能性がある。
 学校体育館は、昭和40年代後半~50年代に整備された施設と、平成以降に整備された比較的新しい施設が混在している。
 築40年以上を経過した施設は19棟。最も古い箕蚊屋中は築53年、加茂中は築52年を経過するなど、築50年以上の施設もある。一方、就将小や福生東小、福米東小など築20年に満たない施設もあり、施設の状態を踏まえ、改築と改修を組み合わせながら順次更新を進める考えで、固定式空調が整うまでの間は、スポットクーラーなどを活用し、暑さをしのぐ方針だ。

米子アリーナを補完

 これに対し、市内11地区体育館は建築後45年程度を目安に順次廃止・解体する。伊木隆司市長は「空調整備には多額の予算を要するため、学校体育館の整備を優先し、地区体育館は耐用年数を超えたものから順次取り壊す。その上で利用者の利便性を考えながら、必要な場所へ地域拠点体育館を整備する」と説明する。
 地区体育館は1980年代前後に整備された施設が大半を占める。中でも、加茂体育館(米子市河崎)は市内で最も古く、すでに築45年を超過。今後の廃止調整では初期の対象となる可能性が高い。
 市は地区体育館を一斉に廃止するのではなく、学校体育館の空調整備や新設する地域拠点体育館の整備状況を踏まえながら段階的に再編するという。利用団体には説明を進め、学校体育館の開放や他地区体育館への移行などで活動場所を確保する方針でいる。
 スポーツ振興課によると、地区体育館が担ってきた役割は今後、学校体育館の開放と地域拠点体育館へ分けていく考えだ。日常的なスポーツ活動については、学校体育館の開放事業が受け皿となる。学校利用を優先した上で、平日夜間や休日に市民へ開放し、地区を問わず利用できる仕組みを拡充するという。
 また、市内大会や大規模なスポーツ活動、防災拠点としての機能は、整備を進める「米子アリーナ」が中心的な役割を担う。これを補完する施設として、地域拠点体育館の整備を検討することとした。
 地域拠点体育館には、空調設備を備え、大会開催に対応できる規模やバリアフリー化、避難所として利用しやすい設備などを求める。配置や整備数、整備時期は今後の検討課題となるが、市は現在の11地区体育館と同数を整備する考えはなく、施設数は減少する見通しとなっている。

安全守る避難所に

 今回の学校体育館更新と地区体育館再編は、単なる老朽施設の更新ではない。教育施設として利用されてきた学校体育館に地域スポーツや防災機能を組み込み、限られた公共施設を効率的に活用しながら、市全体の体育施設の役割を見直す取り組みとなる。
 近年特に、災害時の避難所としての役割が注目されている。このほど発生した熊本県での地震でも、小中学校の体育館が避難所として開設されたが、被災地では最高気温が35度を超える猛暑日となる中、冷房設備の未整備が課題となった。移動式の冷房機器などによる応急的な対応が進められたものの、体育館全体の避難環境を確保するには限界があり、平時から空調設備を備えた避難所を整備する重要性が浮き彫りとなった。
 体育館は平時には教育やスポーツ活動の場である一方、有事には地域住民の安全を守る避難として機能する。東山中から始まる更新事業は、米子市の体育館整備が新たな段階へ踏み出す第一歩となる。
【関連の表は7面へ】

建て替えに乗り出す東山中学校体育館

築46年となっている加茂体育館