コラム
みちしるべ
2019-11-28
26日に鳥取市で建設工事6件の入札があった。落札決定したのは1件だけで、残りは中止になった。この日は6件で延べ81社が指名されていたが、入札会場に来たのはわずか3社だった▼入札は新庁舎の会議室で行われていたが、入札室の周辺に誰もいないため、同じフロアにいても入札が行われていることには気づかなかっただろう▼このような状況になって久しいが、いつまで続くのだろう。現状では有効な解決策も無く、入札中止になった工事は随意契約で施工業者を確保している▼需要が過剰な状態は、建設業者にとってはいい環境なのかもしれない。しかし担い手の育成には時間がかかり、急激な需要の増加には対応できない。常に事業量を確保し切れ目なく発注することが地元建設業の育成につながるだろう。(鷹)
みちしるべ
2019-11-27
昨年のいまごろ、小欄に「数多くの災害現場は順調にさばき切れるか」と書いた。昨年7月豪雨を受けた八頭管内に触れたものだが、1年経って、ようやくすべての現場に着工のめどがついた▼水面下では、発注者が熱心に管内の業者を口説いていたと聞く。最後に残った現場は、それはそれは…受注する側は大変だろう▼今年10月までの県工事で入札不調は2割を超えた。八頭管内の3割超を筆頭に、中部でも応札のない現場が頻発する。そんな中部の業者から、八頭の業者に下請けの依頼があったとか。遠くからでは経費も高くつき、儲けもままならない▼年末までにまとめる国の経済対策は、真水10兆円規模との声が政府与党内に出てきた。このままでは、国補正を要求しても消化できるかどうか。心配になってきた。(鷲)
みちしるべ
2019-11-26
日中も冷え込む日が続くようになった。大山で初冠雪も観測され、各地域で除雪車の出発式も行われ、いよいよ除雪のシーズンがやって来る▼先だって開かれた日野郡除雪対策協議会。日野町からは、町が有する除雪機械3台分のオペレーターが不足している現状が報告された。その後も募集を続けた結果無事に頭数を揃える事ができたが、ここ数年は人材確保に苦慮する状態が続いているようだ。業者にとっても悩ましいのは同じ。最近殊に顕在化してきた人手不足の問題もあり、大変な除雪に割ける人員がいないという声。加えて昨年度のような思いがけない暖冬になれば、採算の見込みも立てられないと渋い顔だ▼地域住民の命綱となる極めて重要な除雪業務。円滑な契約と人材確保が図られるよう、努力を続けていかねばならない。(梟)
みちしるべ
2019-11-25
歩行者の列に車が突っ込んだなどと全国ニュースで取り上げられるたび、コメンテーターは「事前に対策ができた」と口を揃える。この意見には賛成する、しかし予算は限られる▼最近特に印象に残っているのは、大阪北部地震を受けてブロック塀の撤去が進んだことや異例の猛暑を受けて学校のエアコン整備に乗り出したこと。自治体側も限られた予算内で広い面積をカバーするわけだから、ハードばかりに目を向けられない。だからこそ優先順位付けを行うためにこうした議論は大切で、それが事前予防への一歩につながる▼国土交通省は全国自治体のエレベーターで、安全装置設置の調査に取り掛かる方針だ。報道によれば設置率は5割未満。これを機に全国でエレベーター事故の予防措置が進むことを願う。(雛)
みちしるべ
2019-11-21
「何度、公告しても業者さんが入札に参加してくれなくて」と途方に暮れる発注者。先日、ある会社のお偉いさん二人に本当に技術者がいなくて入札に参加しないのかどうか訊いてみた▼業界各社の現状は「技術者の高齢化で減った」「保有人数はさほど変わっていないが、仕事量が増えた」「その会社の営業戦略で向かう仕事があるので表面上は『いない』と言っている」―の三つじゃないかと言う▼今年、俄かに表面化した技術者、人手不足。国土強靭化3カ年緊急対策で事業予算は確かに前年度より増えている。人手のかからない、生産性の向上が図れる仕事に入札参加が集中する傾向がますます強まる▼県では11月定例議会でゼロ県債34億円を補正する、国でも経済対策の作業が進む。この積み残した工事はどうしますか。(鴉)
みちしるべ
2019-11-20
雪のシーズンを目前にして山あいの現場はどこも忙しい。雪が降るのは覚悟の上だが、豪雪にならなければと祈る。現場を任せられた技術者は条件が悪くても、いくらかの利益と工事成績が頭から離れない▼インフルエンザの予防接種を全額負担して受けさせている企業もある。金銭的な負担は大きいが、職員の健康に神経を配らなければ、現場が動かなくなる▼県の優良建設工事が決まり、近く表彰式がある。今年度は45の現場が対象になったが、健闘したのは中部地区ではないか。12の現場で表彰を射止めた▼表彰者は常連が目立つが、久しぶりに選ばれた企業もある。担当した技術者もベテランから若手まで幅は広いが、誰もが経験の上に努力を重ねる。83点と84点のあいだにある1点の壁は大きい。(鷺)
みちしるべ
2019-11-19
甚大な被害をもたらした台風19・21号。災害発生から2カ月余り、被災地の復旧状況が連日報道されているが、その中でボランティア不足が大きな課題として取り上げられている。最大要因は、被災地への道路(アクセス)が封じられていることにある。幹線物流道であれ一般生活道であれ、道路は市民生活欠くことのできない最低限のインフラだがその手段が途絶えると、避難もできなければ救援や支援、ボランティアにも行けない▼予想を超え想像以上の災害が毎年各地で発生している昨今。「災害は忘れた頃にやって来る」から「いつでもやって来る」現実を見ると、生命と財産、そして生活を守っている公共事業をさらにさらに拡充促進し、同時に国土強靱化の恒久的推進に拍車をかけなければ、社会は守れない。(雀)
みちしるべ
2019-11-18
連日報道される悲惨な交通死亡事故のニュース。親族の気持ちを察すると胸がふさがれる。県内の死亡事故のニュースを聴いていても、よく自動車で走る道で起きていることがあり、決して他人事でないと感じる▼特に、見通しの悪い交差点、連続カーブが続く道路などを運転するときは気を遣う。信号機やガードレールを設置して欲しいと常々思う場所もある▼地元も行政に改善を要望しているだろうが、早期に解決に至るケースはそれほど多くないのが実情▼行政も毎日のように寄せられる要望から、時間・コストなどを考慮しながら優先順位をつけて効果的に事業を進めていくのは、非常に神経を使うだろう。しかし、それを先送りして、取り返しのつかない事故が起きるということだけは避けなければいけない。(鴨)
みちしるべ
2019-11-15
少し早いが、新しい時代となった令和元年はどんな年だったのか。秋が深まり、そろそろ冬の訪れが感じられる季節となった。話題は尽きないが建設業界では、またしても自然災害に翻弄された年だったと言えよう▼このほど発表された今年の新語・流行語大賞の30語に「命を守る行動を」がノミネートされたが、これも自然災害にまつわるものだ▼確かに、昨年の西日本豪雨災害を上回る甚大な被害をもたらした台風19号災害は、これまでの想定を完全に覆す非常事態だ。国が3年前に発生した熊本地震に次いで非常災害に指定したのも当然か▼国や鳥取県も防災・減災対策に対するハード・ソフト両面での抜本的な見直し作業に入った。復旧・復興には建設業の存在がいかに大きいか。あらためて考えさせる年でもある。(鶯)
みちしるべ
2019-11-14
担い手の確保と育成が建設業の喫緊の課題と言われるようになって久しい。高校生や大学生を対象にした現場見学会を開く機会も増えている▼先日、県東部土木施工管理技士会が鳥取工業高校の2年生を対象にした現場見学会を開いた。そこには同校を卒業後、地元の建設業に入社して2、3年の先輩も参加した▼彼らは建設業の魅力について「地図に残る仕事」「自分の作ったものを人に見てもらえる」と話していた。一方で「しんどいことは?」という問いには、「まだ未熟で、知識が無いこと、それでも作業員に指示しないといけないこと」と答えていた▼以前、建設業は経験の学問という言葉を聞いたことがある。経験を積むには時間がかかるもの。建設業の魅力を感じながら経験を積み、立派な技術者になってほしい(鷹)