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コラム

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みちしるべ

2019-10-15
 土木工事の入札制度で若手技術者を優遇する案は、どうやら見送られる向きが強まった。8月に県が試行案をまとめ、建設業協会に投げ掛けていた▼毎年、若手を採用できる県内企業は一握り。大半は雇おうとするも、応募すらない。案が通れば雇える大手と、そうでない者との受注格差は益々広がる▼それより業界に求められるのは賃金水準の確保。経営者には耳の痛い話だが、給与を引き上げなければ若手の定着はおぼつかない。必要経費を捻出する余地は、予定価格に対する請け差にある。平均落札率93・8%が高いのか、低いのか立場によって見方は異なる▼競争性のみ追求してきた発注者も、今や受注者の人材育成や利潤にまで考えを巡らせないといけない時代になった。心底、業界を生き残らせる気概がなければ務まらない。(鷲)
 

みちしるべ

2019-10-11
 「バックキャスティング」という言葉をよく耳にするようになった。現状の分析から課題を見つけ出す思考法が「フォアキャスティング」なら、強制的に発想した未来を逆算して現在の施策を生み出すプロセスをこう呼ぶ▼到達目標を未来に置くわけだから、荒唐無稽な発想に至ることも多い。それでもどうにか道筋を探ることで、既成の方策を捨てたブレイクスルーを生み出すアプローチと言える▼一つの鍵は、産業の垣根を超えた価値の創造にある。例えばAirbnbはあくまで宿泊サービスだが、その真価は「旅行」の体験に近い。人口動態や技術の発展から未来を予測し、産業という市場の前提を崩さなければ生まれ得ない▼県産学共同事業化プロジェクトの審査は今月。生まれた新たな価値が、建設業界も巻き込んでくれれば。(鵯)

みちしるべ

2019-10-10
 電気自動車(EV車)は、航続距離の向上や価格の低下により、目覚ましい普及を遂げている。また、商業施設や高速道路の休憩施設に充電スタンドが設置されるなど、インフラ整備も進んでいる▼群馬県に一風変わった充電スタンドがある。ダイソン社の羽根無し扇風機を彷彿とさせるデザインの機器には「テスラ」と書かれている。テスラ社は長距離運転をする顧客向けに充電スタンドの設置を進めており、その数は全国で21カ所に上る。メーカーによるインフラ整備はEV車普及へ新しい潮流を作り出しそうだ▼EV車の普及は地球温暖化対策が目的ではあるが、自国の自動車産業の存亡に関わる重要事項になっている。こうした次世代車の普及に伴い、道路など交通インフラも大きく変化を遂げていくだろう。(雛)

みちしるべ

2019-10-09
 2018年度は東部地区、中部地区を尻目に“一人勝ち”だった西部地区の生コン出荷量。前年比8割と今年度は苦戦を強いられている。昨年がとりわけ大型物件が多くて、今年が極端に少ないわけでもない▼米子地区生コンクリート協同組合(庄司尚史理事長、組合員13社6工場)では、1994年10月に共同販売を再開して以来、出荷量は2005年度まで年間47万立方㍍をピークに39万~22万立方㍍で推移▼鳥取県西部地震で生コン工場が生産を一時ストップした2000年度でも28万立方㍍を出荷した。それ以降は、公共事業削減などとも相まって減少傾向に歯止めがかからず19万~12万立方㍍の状態が続いている▼今年度はここまで悪い方の記録を更新しそうな状況だが、何とか後半の巻き返しを期待したい。(鴉)
 

みちしるべ

2019-10-08
 日が暮れる時間が一気に早くなった。10月も中旬になると朝、晩の気温も下がり、山間地域の家庭では暖房器具も登場する。気は早いが、この時期になると、駆け足で冬が近づく気がする▼今冬の雪はどうなるのか車を走らせながら思う。昨シーズンは平野部の積雪量が少なかったため、車での移動に苦労は少なかったが、こんな冬はそうない。雪は常に覚悟しておかなければ▼地方の場合、多くの人は車で移動する。決して裕福ではないが、3台や4台の車がある家庭は、少しもめずらしくない。朝になれば、家族がそれぞれの職場に向けて車に乗り込む▼道路網の充実を望む県民は多い。積雪時や大雨の日の移動は苦労するし、事故による大渋滞も経験している。無駄な道路など、県内には一つもない。(鷺)
 

みちしるべ

2019-10-07
 2%の上乗せ。「さりとて2%の増は大きい、よ!」との声が聞こえる中、消費税10%の時代となった。消費税はいわゆる一種の「預かり金」。と、分っていても事業者にとっては、日々の事業運営のためには運転資金の一部に回したくなるし、それが現実でもある▼建設工事はその性格上、金額が大きい。金額が大きければ大きいほど差額も大きくなる。資機材料一つとっても、購入金額や仕入れ金額も当然増加し、資金繰りに影響が出る可能性がある▼税金だけは赤字であっても待ってはくれない。確保していた納税用資金が、日々の運転資金に使われしまうと、その時期に苦労するのは明らか。日頃から資金繰り対策を講じ、同時に将来を見通した状況を勘案しながら、対策を施すことが重要なポイントとなってくる。(雀)

みちしるべ

2019-10-04
 10月に入っても蒸し暑い日が続いているが、今年はすでにインフルエンザが流行し始めているという。厚生労働省によると、9月16日から22日までのインフルエンザの発生状況は全国で5716人(昨年同期は668人)▼特に流行しているのは沖縄県。本県はそこまで流行しているというわけではないが、気は抜けない。余裕があればこの時期からワクチンを接種することが望ましい▼そうでなくても例年この時期は、季節の移り変わり、連日続く大雨などで体調を崩しやすい。さらに、これからは年度末に向けて受注した現場での作業で忙しくなってくる。いろいろ注意を払う必要がある時期ではあるが、こまめな休憩と日頃の健康管理に気をつけて、安心・安全なまちづくりに努めてほしい。(鴨)

みちしるべ

2019-10-03
 消費税率が1日から10%に引き上げられた。消費税が5%から8%に引き上げられてから5年半年の歳月を経てようやく実行に移されたが、初めて導入された軽減税率で現場は混乱している▼当初は、高齢化で増大する年金や医療などの社会保障費を賄うため、翌年の15年10月から10%にするはずだった。しかし、2%の物価上昇を掲げたアベノミクスがままならず17年4月に延期▼さらに、サブプライムローン(信用度の低い住宅ローン)を端緒に、世界を経済危機に陥れた08年9月のリーマンショックを理由に再延期した▼図らずも、日銀が景気を刺激するため、16年2月から導入したマイナス金利政策で住宅投資は好転したが、内需は依然としてデフレのままで上向く気配はない。早くも景気の腰折れ対策が注視されている。(鶯)
 

みちしるべ

2019-10-02
 鳥取市の新本庁舎が完成し、1日に鳥取市制施行130周年と合わせて記念式典が開かれた。15日から段階的に業務を開始し、11月5日に全面開庁する▼庁舎が移転し現本庁舎跡地が有効に利用されることで、鳥取市の雰囲気も大きく変わるだろう。中心市街地がより活性化されることを期待したい▼一方で、喫緊の対策が望まれるのが、建設工事の入札中止が多発している問題だ。1日にはA級からD級まで6件の土木工事を入札したが、すべてが入札中止となっている▼よほど施工条件が悪いのか、あるいは資材や人出が不足しているのか。有効な対策を打ち出すためには原因をきちんと究明することが必要だろう。地域の建設業が活躍できる環境を整えなければ、地域の活性化にも期待が持てない。(鷹)

みちしるべ

2019-10-01
 17年度から県が試行するICT(情報通信技術)活用工事はなかなか広がりを見せない。土工量5千立方㍍以上が「発注者指定」、1千立方㍍以上は「受注者希望」。17年度に8件、18年度は5件で試行している▼19年度は発注者指定3件、受注者希望34件を予定しているが、8月末までの実施件数は岩美道路の切盛土2件(田中組、吉田建設)にとどまる▼課題に挙がるのは、専用建機に初期投資がかかるし、現場レベルでやりたくても経営者がやりたがらない。また、ICTの活用で新たな人材の育成も欠かせない▼まず、必要なのは「ICTを導入すれば儲かる」といった仕組みづくりだろう。生産性が向上すれば、少ない人材で現場が回り、利益が出て給料も上がる―。試行錯誤できっかけを掴みたい。(鷲)
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