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コラム

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みちしるべ

2024-04-25
 今年の「本屋大賞」候補に「リカバリー」と冠した作品があった。一昔前はパソコンの初期化とほぼ同義だったが、近頃は休養や回復を指すことも多い▼潮目が変わったのはスポーツの分野からだろう。運動科学の最先端を走るオーストラリアは2006年、国立スポーツ科学研究所内に世界初の「リカバリーセンター」を立ち上げた▼より効率良く激しい訓練をこなそうと競う諸外国を後目に、先頭に立つ豪州は突如進路を変える。トップ選手の身体機能はもはや横並び。最後に勝負を分けるのは鍛えた実力をいかに発揮できるか―つまり、調子を整えるための休養に重要性を見出したのだ▼傷ついた国土のリカバリーを担う建設職人も体が資本。生産性向上を目指すのなら、まずは自身の良い休み方を模索してみては。(鵯)

みちしるべ

2024-04-24
 ホワイトカラーなど職種や業種を、色を使った言葉で表すことがある。カラーとは襟(えり)という意味で、服の色から想像する仕事が主に割り振られている。ちなみに建設業はブルーカラーだという▼服だけではなく色の意味でも職種を表すものがある。例えばグリーンは自然。つまり環境の保全や保護、クリーンエネルギーに携わる仕事も含まれる。太陽光発電の建設はブルーカラー、グリーンカラーどちらともいえるだろう▼近年、欧米を中心に取り組みが進んでいる「グリーンインフラ」。自然環境がもつ様々な特徴をインフラ整備に活用するもので、アメリカから生まれた手法である▼人工構造物とグリーンインフラ双方の特性を使い分けての整備が日本でも進んでいく。新しいカラーが生まれるかもしれない。(鴎)

みちしるべ

2024-04-23
 この時期、山間部を車で走るとレンゲが田んぼに咲いているのを見かける。山の新緑と相まって見応えを感じる。春の風景は穏やかな気持ちにさせてくれる▼山間部をさらに進むと、行き止まりが多いのが県東部の道路。隣の集落に行くのに大回りして通行しなければならないところもある。ひとたび災害が起きれば、そのような集落は孤立状態に陥りやすい▼事実、昨年の台風7号でも鳥取市佐治町を中心に孤立集落が発生した。公務員の友人は当日、佐治町内の避難所開設対応のため、獣道同然の市道を通って佐治に入ったという。しかも夜間でかなりの時間がかかり、危険も感じたそうだ▼山間部の道路新設は費用対効果で事業凍結されることもある。だが、人が住んでいる以上、その判断は正しいのだろうか。(隼)

みちしるべ

2024-04-22
 たけかんむりに旬と書いて筍(たけのこ)。春の味覚の一つだ。近所に住む叔父が炊き込みご飯を持ってきてくれた。かしわ、こんにゃく、にんじん、しいたけ…竹輪まで入っている。特に好むのは、筍の穂先部分。やわらかくて、なんとも言えない歯ざわり▼業界内は総会のシーズンを迎えた。多くの団体は改選期にあたる。役員人事が淡々と進む団体があれば、そうではないところも。人事=他人事(ひとごと)で、平素は無関心な業界人でも新しい人事の話ともなれば熱がこもる▼どうしても、好き嫌いに陥りがちだが、見失ってはならないのは上に立つ者の人物像。どんな構想を描いて団体をけん引していくのか。少しでも業界を良くしてもらわなければ困る。今週からは建設業協会各地区の総会が開かれる。どれどれ。(鷲)

みちしるべ

2024-04-19
 各社の新入社員紹介が連日掲載されているが、将来の夢に「資格を取得して」という文言が多い。それだけ社員も企業も資格の重要性を深く認識しているということだろう▼資格者も、業界内での自身の価値を理解しており、好待遇の企業に流れる傾向だ。熾烈な人材争奪戦が常となっているため、新たな資格者を雇うためには、多額の人件費が必要になる。雇用できたとしても、資格者は引く手あまたなので、再び流出するリスクは拭えない▼社外から資格者を調達するのが難しいのであれば、社内の人間に資格を取得してもらうほかない。資格取得をサポートし、資格を取得した者への報酬制度を用意する。新たに人を雇うよりは、経済的かつ持続的と言える。人を育てることが、企業を育てることに直結しているようだ。(雛)

みちしるべ

2024-04-18
 NHKの人気ドキュメンタリー番組「プロジェクトX」が、18年ぶりに「新プロジェクトX~挑戦者たち~」として復活した。初回のテーマは「東京スカイツリー天空の大工事」。高さ634㍍の電波塔建設という難工事に挑んだ設計者、ゼネコン、資材の加工業者など工事関係者にスポットが当てられた▼番組の中では、とび職人が雷や突風、2011年に発生した東日本大震災に対処しながら、天空の現場で鉄骨を組んでいく様子が描かれた。高所で作業する人々の凄さを実感するとともに、自分たちの生活がこうした技能を持つ人に支えられていることを再認識した▼新年度に入り、各機関から工事が発注され始め、様々な事業が動き始めている。プロジェクトに取り組む挑戦者たちの活躍をこれからも応援していきたい。(燕)

みちしるべ

2024-04-17
 自然の色合いはいつもの春だ。近くに見える低山も新緑のエリアが増えているし、その中にヤマザクラの淡い色が浮かび上がり、山を飾る▼街の朝もいつもの4月。初心者マークが貼られた車から新入社員と見られる人が降りてくる月極の駐車場。その前の道を真新しい制服を着込んだ高校生が学校へ向かう▼建設業界にも若い人が入って来た。職場の環境にも少しはなれてきたが、気は抜けないし覚えることはいっぱいある。次の休日が待ち遠しいだろう。この姿を見て若い頃を思い出す先輩も多い▼若い人だから、胸いっぱいの夢と希望を抱えているに違いない。それでも、歩み始めた道の先には様々な障害物も待ち受けている。そのたびに、多くの人からの励ましを受けて、また一つ乗り越えてほしい。(鷺)

みちしるべ

2024-04-15
 全国の自治体で職員が業務中に着ける名札の表記を、姓名から名字のみに切り替える動きが広がっている▼住民からの不当な要求や行為「カスタマーハラスメント(カスハラ)」対策の一環で、SNSの普及に伴い、個人情報がネット上で検索、公開されるのを防ぐ目的という。さらに、平仮名表記に変えたり、顔写真の表示をなくしたりするケースがある一方、フルネーム表記を維持し、被害が出れば退去命令などで適切に対応するという自治体も。問題の根本や対応を含め、今時な話だ▼姓名の検索といえば、年度替わりとなり、過去の技術者成績の問い合わせが多い。もちろん、今後の総合評価入札のシミュレーションをするため。自治体職員の対応もそうだが、やはり「高得点」は晴れ晴れとする。(鴛)

みちしるべ

2024-04-12
 4月12日は「タイルの日」。敷瓦や壁瓦などの呼称を「タイル」に統一して100年の節目に登録された。また世界初となる有人宇宙衛星船の打ち上げ成功がこの日だったため「世界宇宙飛行の日」としても知られる▼スペースシャトルの外装もタイルの一種だ。1960年代にNASAが開発した素材は、歯科用セメントに使用される化合物などを主成分としていたという▼この素材の完成に貢献した技術者、ロン・ハンケラーはしかし、死後全く異なる文脈で注目を浴びることになる。なんとホラー映画の金字塔『エクソシスト』の原作で、悪魔憑きのモデルとなった人物だとか▼モノや出来事の背後には必ず人の営みがある。例えば手元のタイル1枚、釘1本からも、思わぬストーリーに辿り着けるかもしれない。(鵯)

みちしるべ

2024-04-11
 物の価値の目安が分かる「開運!なんでも鑑定団」が好きで、小欄はよく視聴している。バラエティ番組だから緩急があり、お宝が掛軸などの場合は大体偽物で、アニメやスポーツなどに関係するものはいい値段が付きやすい▼自宅に何かお宝はないか探しても、あるのはガラクタばかり。今流行りの「投資」という形で、お宝を買うか悩む▼物の価値が分からずに、お宝が捨てられることもある。身の周りでも、希少な楽器が廃棄されたということを聞き、愕然とした。希少なものだということが伝わっていなかったようだ▼工事現場でも、希少なものが見つかり、調査を進めることがよくあるだろう。過去には埋蔵物の破壊事例も。官民問わず、そうしたことにならないような土地開発を進めてもらいたい。(隼)
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