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コラム

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みちしるべ

2023-02-03
 自宅にコダックのカメラがある。フィルムもまだ手に入るようだが、蒐集品の色が濃く使う機会はない▼コダックは銀塩フィルム関連の高い技術と広大な販売網を武器に、絶頂期はダウ・ジョーンズ平均株価を構成する30社にも名を連ねた。しかし10年前に破産し、今では末期の迷走が寓話のように伝えられている▼社運をかけた「フォトCDプレイヤー」は、フィルムの現像時にデータCDを追加購入し、テレビで写真を観賞できるというもの。消耗品のリピートで利益を上げた同社らしい製品だが、「誰が買うのか」と当時の消費者も思ったようだ▼組織には主流と傍流があり、主流派の文化からくる判断基準に強く依拠したことが硬直を生んだ。時に対立も是とすべきなのだと、今は傍流に沈んだカメラを見て思う。(鵯)

みちしるべ

2023-02-02
 国内の昨年の人口移動報告が発表され、東京都は2年ぶりの転入超過となった。コロナの行動制限も緩和され、東京へ人の流れが戻っているようだ。一方、地方は鳥取県に限らず大半が転出超過となっている▼受験や就職などで県外に出ていったまま、地元に帰らない人も多い。筆者の周りでも「地元に帰るつもりはない」という声を聞く。かくいう筆者も学生時代は地元に戻る気はなかった。理由は単純。県外のほうが魅力を感じていたからだ▼地元の魅力をSNSなどで発信する動きが各地で見られる。「バズれば」人流をつかめるが、そうなるまでは根気のいる作業だ▼業界でも様々な活動を通じて、若年層に魅力を発信している。こちらも根気のいることだが、将来への種まきは続けていく必要がある。(隼)

みちしるべ

2023-02-01
 10年に一度の最強寒波が襲い、厳しい寒さとなった日本列島。山陰地方でも大雪に見舞われ、スコップを片手に雪かきに汗を流した人がほとんどだろう。雪はもう見たくないと思うぐらい雪かきには苦労した▼今ではホームセンターで容易に買えるスノースコップなどの雪かき道具。今の時代手作りしているという人は少ないと思うが、昔、日本の伝統雪道具(コスキや、カンジキなど)は使い手の体型に合わせて家庭での手作りが主流だった▼道路の除雪も歴史を辿ると興味深い。明治時代は、馬そりでの除雪、機械による除雪は1925年に初めて実施された▼大雪でも道路を走行できるのは除雪する建設業者、自治体の職員の昼夜の活動のおかげである。その人材が不足すればと思うと最強寒波よりも寒けがくる。(鴎)

みちしるべ

2023-01-30
 二つの物事が両立できない「トレードオフ」という言葉がある。いわば、あちらを立てればこちらが立たず。二律背反と同じ意味になりそうだ▼年明けから県土が発注する全工事に週休2日制(4週8休以上)が始まった。あらかじめ経費を上乗せして発注するもので、休日を確保して「働き方改革」につなぐ狙い▼一方で、休みが多くなれば日給月給の労働者は収入が減る恐れがある。月給制でも現状の給与を支払い続けることにためらう経営者がいる。それに、上乗せ経費の低さ。こうした問題に、国からはいまだ明確な答えを聞いたことがない▼工期設定の根拠となる工程スケジュールの公開など、発注者もまだ、やるべきことはないか。今の時期は降雪の影響もあろう。休日と賃金の確保。トレードオフの関係ではいけない。(鷲)

みちしるべ

2023-01-27
 これまでに木造校舎が当たり前だった学校は、1949年ごろから鉄筋コンクリート造が主流となり、最近ではまた学校施設の木造化が進んでいる。文部科学省によると、2021年度に新築された学校施設690棟のうち18・1%が木造で、非木造の中でも約70%で内装の木質化が図られているという▼同省の発表では、校舎を木造にすることで集中力向上や室温が保てるなどのメリットがあるという。また、木質空間の暖かさや木の抗菌性から、インフルエンザの蔓延が抑制されるというデータも出ている▼コロナウイルス感染症や円安の影響などで発生した、ウッドショックによる価格高騰や木材不足も一定の落ち着きを見せてきている。これからの子供たちには木のぬくもりを感じながら過ごしてもらいたい。(雛)

みちしるべ

2023-01-26
 地域の小学生にスポーツを教えている指導者は、昔と違い子供たちに楽しませることから始める。子供の数も減ったし、時代は変わって休日の遊びはゲーム。始まりは技術よりも「そのスポーツを好きになってもらうこと」▼それでも、低学年の時はキャッチボールも出来なかったが、いつの間にか難しい打球をさばき、グラウンドを駆け回る日が来る。日々の反復練習を飽きさせない指導が欠かせない▼建設業界で働く人も一人前になるには長い時間がかかる。本人の地道な努力はもちろんだが、成長するには先輩方の指導と大きな支えが大切だ▼素敵な言葉を並べたキャッチコピーで業界をPRすることも必要だが「桃・栗3年、柿8年」の言い伝えがあるように、手間をかけてじっくり育てなければ。(鷺)

みちしるべ

2023-01-25
 通常国会が召集され、岸田政権が打ち出した防衛費増額、物価高対応、「異次元の少子化対策」を巡り、与野党の論議が始まった▼少子化対策の柱となる児童手当の拡充については、第2子以降の支給額を増やした場合、兆円単位の予算が新たに必要となる見込み。4月の統一地方選、衆院補欠選を前に、内閣支持率の浮揚を狙う考えが透けるが、財源確保が大きな課題だ▼一方、鳥取県はインフラ整備が遅れ、産業基盤が強い都市部との地域間格差がますます広がりかねない状況だ▼高速道路に目を向けると、未開通区間、暫定2車線区間が多く残る。中央分離帯がなく、対面通行の高速道は海外から見れば「異次元」。少子化対策も重要だが、地域の安心安全を守る環境整備も忘れないでほしい。(鴛)

みちしるべ

2023-01-24
 インドネシアのスンバ島には貴族・平民・奴隷の社会階層があり、かつては奴隷が贈与・交換可能な一種の通貨だった。その風習は今も残り、人ではなく馬を交換財に貴族集団同士が同盟を結ぶという▼同盟の成否を分ける重要な要素が「幸運の馬」の存在。獲得条件は「馬に敬意をはらって親切にする」ことだが、いつどのように現れるかは馬のみぞ知る▼ごくまれに感情を持った貨幣がいる、とでも言うべきか。親切と見返りの因果が不明瞭だからこそ、他者に悪影響を及ぼす過剰な野心を抑制し、法定通貨と自生通貨の共存をも成り立たせている▼長く続く仕組みには得てして、一人の理性のキャパシティを超えた知恵の集積があるもの。業界に残る多くの伝統や慣習、我々はどこまで真意を汲み取れているだろう。(鵯)

みちしるべ

2023-01-23
 新春恒例の「歌会始の儀」が18日、皇居で行われた。毎年お題に沿った短歌が寄せられる。来年のお題は「和」。漢字の意味は、のどか、争いをおさめる、ととのう―など総じておだやかなことを連想させる▼世界ではロシアによるウクライナ侵攻や物価高騰など「和」とは程遠い状況だ。日本でもその煽りで相変わらずものの値段が高いままだ▼久々に取材した各団体の新年祝賀会でも、物価高騰などに触れるあいさつが多かった。来賓のなかには「事業量確保で業界を支援する」とあいさつした人もいたが、言っていることと実態が乖離しているのではないか。そう思うようなあいさつだった▼行政には口だけでなく、事業量確保に努め、業界が事業量の少なさにやきもきすることなく平和に過ごせるようにしてもらいたい。(隼)

みちしるべ

2023-01-20
 日本最古の和歌集・万葉集などで詠われる鮮やかな紫色の花を咲かす「カキツバタ」。花言葉は「幸運は必ず訪れる」で、恋人を待つ気持ちを表現したものが多い▼室町時代「伊勢物語」九段東下りの段に登場する和歌で、在原業平の詠んだ歌がある。「からころも」から始まるこの歌は、旅先から妻への思いを描いたもの。句頭を取れば「かきつはた」と花の名が出てくる折句になる▼折句と似たもので、あいうえお作文がある。字数制限を設けない点が異なるが大喜利や標語、キャッチフレーズで使われることも少なくない▼平準化の取り組みとして提示している「さしすせそ」。国交省は毎年、平準化率を見える化している。平準化率は低いが建設投資に力を入れている自治体もあり、率を上げるばかりだけではいけない。(鴎)
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